2003年に制定された「パソコンリサイクル法(資源有効利用促進法)」をご存知でしょうか?
不要になったパソコンはゴミとして廃棄処分するのではなく、リサイクルしなければならないという法律です。このルールについての国内での認知度はかなり高まってきており、現在、ほとんどの家庭用パソコンが回収され、メーカーのリサイクルにより再利用・再資源化されるようになってきています。
では、会社などの企業で使われる事業用パソコンについてはどうでしょうか?
事業用パソコンは、もともと、産業廃棄物として処理することが法律で定められていましたが、家庭用パソコン同様、メーカーが回収してリサイクルすることが求められるようになりました。
事業用パソコンの具体的なリサイクル方法について、さらに、お得な処分方法についてご紹介したいと思います。
1.家庭用パソコンと事業用パソコンの違い
会社などで使われる事業用パソコンは、「事業系PC」「法人向けパソコン」「ビジネスパソコン」などとも呼ばれます。
家で使うパソコンと事業用のパソコンには、どのような違いがあるのでしょうか?
パソコンの基本的な機能は同じ
一般的に、区別して扱われることの多い家庭用パソコンと事業用パソコンですが、スペックが異なるだけで、パソコンとしての機能は同じです。事業用パソコンとして特別に製造されているわけではありません。
家庭用パソコンは、多くの場合、機能が限られたより安価なモデルが選ばれるのに対し、会社などで事業用に使われる、ビジネスユース向けのパソコンは、比較的性能の高いハイスペックモデルが使われることが多いようです。
もちろん、ゲーミングパソコンなど、家庭でもハイスペックモデルが選ばれるケースや、事業用でもシンプルでリーズナブルなモデルが選ばれる場合もあります。
事業用パソコンに必要とされる機能
パソコンメーカーの多くが、会社などで使われるパソコンと家庭用パソコンを区別して販売しているのには、理由があります。
それは、パソコンのトラブルなどにより間違いが起きてしまうことのないよう、また、パソコンの動きが遅いために業務に支障をきたしてしまわないよう、事業用パソコンには高い性能が求められているからです。また、企業の情報など、慎重に管理すべきデータを多く取り扱うため、事業用パソコンはより高度なセキュリティを必要としています。
そのため、多くのメーカーが、ビジネスモデルとしてより性能の高いパソコンを販売しているのです。企業のそれぞれのニーズに合わせたモデルを、メーカーがセットアップして販売している場合もあります。
事業用パソコンの処分が難しい理由
古くなった、あるいは使えなくなったパソコンを処分する場合に問題になるのが、データの消去です。
システム上に表示されているファイルを削除しただけでは、データは完全には消えていません。間違えて削除してしまったファイルを復元することができることからもわかるように、消したつもりのデータは、ハードディスクの中のどこかに残っているのです。そのため、専門のソフトを使って、あるいは、ハードディスクを物理的に破壊して、完全にデータを消去する作業が必要になってきます。
企業の個人情報だけでなく、顧客に関する情報やその他さまざまなデータが残されている可能性のある事業用パソコンは、特に慎重に、データ消去を行う必要があります。
産業廃棄物管理票(マニフェスト)とは?
会社などの企業が、廃棄物の処分を業者に委託する場合、廃棄物が適正に処理されたことを確認するための書類、「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」を作成することが義務づけられています。
企業の固定資産であるパソコンなどを処分する場合も、処分した台数、委託した業者名などを記入した書類を作成しておくことで、不法投棄されていないことを証明する必要があります。
2.事業用パソコンってどうやって処分すればいいの?
会社などで使われる事業用パソコンも、家庭用パソコン同様、メーカーが回収してリサイクルを行うことが推奨されています。
事業用パソコンのリサイクルは、具体的にどのような方法で行われるのでしょうか?
事業用パソコンのリサイクル方法
会社などで使われる事業用パソコンをリサイクルするには、処分するパソコンのメーカーに直接、回収・廃棄処分を依頼します。家庭用パソコンの場合もメーカーに直接リサイクルを依頼しますが、法人の場合はメーカーの受付窓口が異なります。
リサイクルを依頼すると、メーカーが見積もり書を作成、その後契約を締結。メーカーに配送後、再資源化されます。
具体的な手続きや処理手数料はメーカーごとに異なるので、申し込み時に確認する必要があります。メーカーが不明な場合は、「一般社団法人 パソコン3R推進協会」にリサイクルを申し込むことができます。
事業用パソコンのリサイクルが有料になっている理由
家庭用パソコンの場合、「PCリサイクルマーク」のついたパソコンであれば手数料はかかりませんが、事業用パソコンはリサイクル料金が必要です。お金がかかりますが、メーカーにリサイクルを依頼する場合、次のような利点があります。
まず、国の認定を受けたメーカーが回収を行う場合、リサイクルを依頼する事業者(法人)はマニフェストを起票・管理する必要がありません。また、自治体への廃棄物年間実績報告が不要になります。
さらに、メーカーが再資源化から最終処分まで責任を持って対応、安全性の高いルートで処分を行うので、ハードディスクに残された情報の流出などを防ぐことができます。
<メーカーリサイクルを利用するメリット>
・マニフェストの起票、管理が不要
・廃棄物年間実績報告が不要
・法に基づき、安心、安全に廃棄処分される
3.事業用パソコンをできるだけお得に処分する方法
要らなくなった家庭用パソコンは、自分でリサイクルの手続きをしなくても、中古パソコン専門店などで処分することができます。事業用パソコンについてはどうでしょうか?
産業廃棄物として業者に処分を依頼する
不要になった事業用パソコンは、産業廃棄物として処分することもできます。
必要に応じてすぐに回収してもらえるのでとても便利ですが、比較的高額な費用がかかる点と、必要な書類を自社で用意しなければならない場合があるので注意が必要です。
また、データの消去などは事前に行っておく必要があります。
法人向けパソコン回収サービスが便利!
家電メーカーや業者が提供する、「法人向けパソコンの回収・処分・買取サービス」が人気です。
事業用パソコンの処分に特化したサービスを提供しており、安心・安全なルートでデータの消去(有料の場合が多い)、廃棄処分を行い、必要な書類も用意してもらえます。業者によって処理手数料が異なりますが、同時に買取を行うことで比較的安価で対応してもらえるケースもあるようです。
店舗ではなくネットショップとして運営している業者が多いので、口コミ情報などで安全性を確認してから利用することをおすすめします。大手家電メーカーなどが運営している業者もあります。
4.まとめ
会社、職場などで使われる、事業用パソコンの処分方法についてご紹介しました。
家庭用パソコン同様、事業用パソコンを処分するには指定の方法でのリサイクルが必要ですが、まだ十分に使える状態のパソコンは中古買取でお得に処分する方法もあります。事業用パソコンをまとめて処分する際に、ぜひ、参考にしてみてください!