親族や身内の方が亡くなった際に、故人の方が生前大切にしていたものを整理し、家やお部屋をきれいにするのが「遺品整理」の目的です。
遺品整理には、たくさんの時間と手間がかかります。
親族、親戚、友人、知人などの手を借りて済ませられる場合もありますが、近年は少子化の波もあって個人で行わなくてはいけないケースも多くあります。
忙しくて遺品整理のための時間が取れなかったり、または遺品が大量にある場合。また遺品整理を行う故人の家から遠方に住んでいる場合など。そうした方のために、民間の業者が提供する遺品整理のサービスが増えてきています。
特に、現在の住まいよりも実家が遠方にある場合や、業者のサポートを借りずに何度も自分で足を運び遺品整理を終わらせることはかなり難しく、今後、遺品整理のサービスを利用するケースは増加していくことが予想されます。
しかし、遺品整理を業者に依頼することで、スムーズに納得のいく作業を行ってもらえることができる一方で、業者との間でトラブルが発生するケースもあるようです。
そして悲しいことに、親族同士の間でも、遺品整理のトラブルは今も昔もなくなりません。
遺品整理で業者や親族とトラブルを起こさないために、一体どのようなことに気をつけたら良いのでしょうか?
今回は遺品整理で業者や親族とのトラブルの実例や、トラブルにならないために気を付けたいポイント、もしもトラブルが発生した場合に相談できる行政の窓口などについて、まとめてご紹介いたします!
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1.遺品整理で思わぬトラブル
ひと昔前までは、親族一同で行うことが一般的だった遺品整理ですが、業者のさまざまなサービスが利用できるようになったことで、業者との思わぬトラブルも増えています。
国民生活センターの調査によると、遺品整理サービスに関する相談件数は、2013年頃より急増。毎年およそ100件前後で推移しています。トラブルに遭った人が必ずしも相談をするわけではないので、実際は、これ以上の件数の遺品整理でのトラブルが起きているのではないでしょうか。
遺品整理という作業は誰もが何回も経験することではないので、どういう方法で行われるのが一般的なのかを詳しく知っている、という方が少ないのもトラブルに巻き込まれてしまう原因のひとつかもしれません。
故人の方との思い出を振り返るという大切な行為でもありますし、相続などに関するものを探さなくてはいけない場合もありますので、できれば丁寧に行いたいと誰もが思うでしょう。
そんなときに頼りになるのが、遺品整理のサービスを提供する民間の業者です。
需要の増加から、今は「お住まいの地域 遺品整理」などで検索すれば数多くの業者が見つかると思います。
その多くは遺族の方の心に寄り添って、真心あふれるサービスをしてくれて物理的にも気持ちの面でも大いに助かるはずですが、悲しいことに遺品整理業者の中には少なからず悪徳な業者も紛れ込んでしまっているというのも事実です。
経験豊富な遺品整理サービス業者のおかげで本当に助かっている人がたくさんいる一方で、悲しい思いをしている方がいらっしゃるのはとても残念なことですよね。
では、まず遺品整理の際にどういったトラブルがよく起こるのかを見ていくことにしましょう。
2.遺品整理業者とのトラブルで多いものとは?
業者に遺品整理を依頼した起こりがちなトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか?
業者とのトラブルで考えられるのは、
- 契約に関するトラブル
- お金に関するトラブル
- 遺品に関するトラブル
- 遺品を勝手に処分されるトラブル
- 遺品整理業者の買い取りによるトラブル
- サービスの質に関するトラブル
- 不法投棄に巻き込まれるトラブル
この7つです。では詳しく見ていきましょう。
契約に関するトラブル
業者との間で起こるトラブルで多いもののひとつが契約に関するトラブルです。
遺品整理を民間業者に依頼する場合、
- 電話やネットで簡易見積もりを取る
- 実際に業者が訪問し、詳しい見積もりを行う
- 契約内容を確認し、サインをする
このような流れで契約するのが一般的です。
基本的に、見積もり自体は無料で、見積もり金額や内容に納得がいかなければ断ることも可能です。
しかしながら、自宅まで見積もりに来てもらった際に、断りきれず契約をしてしまうケースが実際は数多くあります。
または悲しみに暮れている遺族の方につけこみ、強引に契約を迫るような遺品整理業者もいるようです。
そのような業者に遺品整理を依頼しても、当日の作業や接客態度の面でトラブルになるのが目に見えていますよね。
業者に強引に契約を迫られてしまったというトラブルや、納得していない条件で契約をしてしまったトラブルに巻き込まれてしまったときは、すぐに信頼できる人や相談窓口に相談しましょう。
お金に関するトラブル
契約に関するトラブルと同様に、料金などお金に関するトラブルもまた、業者との間で起こりやすいトラブルのひとつ。
利用するサービスの内容にもよりますが、遺品整理には、整理するものの量やスケジュールによっては高額なお金がかかってしまう場合があります。
ある程度まとまった金額を請求されるのは仕方のないことなのですが、見積もりで提示された金額よりも高額の料金を請求されたり、説明にはなかった追加料金が発生したりすることでトラブルに発展することもあるようです。
こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、「信頼できる遺品整理業者」を選ぶことが大切です。見積もりを見せてもらった際に不明瞭なオプションがないかなどをしっかりと確認し、何か質問をした際にも包み隠さず答えてくれる遺品整理業者が理想ですね。
また、他の親族が別の業者に決めてきてしまって、自分が見積もりをとっていた遺品整理業者は直前でキャンセルしなくてはいけなくなった、ということもあると思います。
その他の事情であっても作業をキャンセルしてしまった場合に、高額なキャンセル料金を請求されたというトラブルもありますので、遺品整理業者のキャンセルポリシーについても事前に確認しておきましょう。
遺品に関するトラブル
見つかった遺品の取り扱いについても、遺品整理業者とのトラブルでよく耳にします。
残された遺品を整理していると、荷物の中から家族も把握していなかった貴重品や貴金属、高価な趣味の道具、預金通帳や金券、現金などが出てくることがよくあります。
業者スタッフに自宅の中に入って遺品整理を手伝ってもらう場合、わかっているものは事前に貴重品などを仕分けしておくと思いますが、思いがけない場所から見つかった貴重品の扱いには十分に注意しておかないとトラブルの原因になります。
ごく普通の良心的な業者であれば、整理しながら貴重品を別に保管しておいてくれるのですが、悪質な業者の場合、知らないうちに貴重品や現金が消えてしまっていた…なんていうケースも。
依頼者が見ていないところで現金や有名ブランドの高価な時計、金銭的価値の高い宝飾品や貴金属、マニアの間で高額な売買取引がされているレアなアイテムや価値のわかりづらい骨董品など、遺品を故意に盗む悪徳業者が存在します。
特に「へそくり」は最も盗まれやすい遺品と言われており、大抵は遺族の知らないところに隠されているため、盗まれたことに気づきにくいのが厄介な点。
その他にも、持ち出しやすい大きさの家電製品、スマートフォン、カード類が入ったままの財布や商品券など狙われやすい遺品は数多くあるので細心の注意を払いましょう。
遺品を勝手に処分されるトラブル
金銭的に価値のある遺品、故人の親族や親しい友人にとって価値のある遺品を知らずにゴミと一緒に処分されてしまったというトラブルもあります。
あらかじめ遺品整理業者にお願いしたい作業を伝えておかなければ、遺品は全て回収されてしまいます。貴重品を探したりや「これは回収しないで欲しい」、「処分しないで欲しい」などと遺品の仕分けに関する要望があれば、見積もりの時点で伝えておくと良いかもしれませんね。
自分と業者のスタッフがお互いに嫌な思いをしないためにも、自宅に入って荷物を整理してもらう場合は、できるだけ一緒に作業することが大事です。あると聞いていたはずの貴重品が見つからなかったり、あったものがなくなっているなど明らかにおかしなことがあった場合は、すぐに相談するようにしましょう。
遺品整理業者の買い取りによるトラブル
遺品の中には、パッと見は価値がないように見えるものでも、骨董品専門の買取業者や、リサイクルショップ、ネットオークションなどに出せば高値で買取してもらえる可能性もあります。
しかし、業者によって価値に見合わない不当な値段で買い取られてしまったというトラブルも実際にあるのです。
全てを遺品整理業者にお任せして損してしまうよりも、プロの査定員が在籍し遺品を専門的に買い取ってくれる業者がおすすめです。遺品の売却を検討する場合は買取価格の相場を調べておいたり、適正価格で買い取ってもらえる業者に別途依頼するようにしましょう。
サービスの質に関するトラブル
「遺品整理」とは、故人の生前の持ち物をいたわる気持ちで片付けながらお部屋をキレイに整頓し、冥福を祈る弔いの作業です。
作業の代行を委託された業者とその作業員もまた、故人や遺族を弔う気持ちと心構えでたずさわるべき業務でもあります。
しかし、さまざまな思いがこもった遺品を「単なる物」として乱暴に扱ったり、雑な作業で遺品やお部屋をキズつけたり壊してしまうなど、遺品整理に対する意識が低い業者も存在します。
作業をさっさと終わらせようと言わんばかりに雑な作業をする業者もいれば、依頼者にするべき確認をしないまま遺品を回収・処分してしまう適当な業者もいます。
また、作業自体は滞り無く進んでも、家族の方が嫌な思いをしてトラブルに発展してしまった、というケースも少なくありません。
例えば、遺品整理の作業に来てもらったスタッフが、愛想が悪く、挨拶やコミュニケーションもなかったらどう感じますか?
例え間違いのない作業をしてもらえたとしても、嫌な態度を取られてしまったら遺品整理を気持ちよく終わらせることはできないかもしれませんよね。
態度だけでなく、実際に、大切なものを乱暴に扱われたり、建物にキズをつけたり、十分な作業をしてもらえなかったり、広告やHPで紹介されていた誠実そうな印象とはかけ離れたサービスを提供されて、心理的なトラブルに発展することもあるようです。
終わってしまってからサービス内容を改めることはできませんが、こういった問題があったという内容を相談しておくことで、今後の改善につながるかもしれません。
「不法投棄」に巻き込まれるトラブル
「遺品の不法投棄」は、他社と比較して極端に料金が安い業者に遺品整理を依頼した場合に多く起こるトラブルです。
依頼者から回収費やリサイクル料を受け取ったにもかかわらず、遺品を人目につかない山奥や空き地に放置したり、川底に沈めるといった方法で依頼者や地域にも無断で捨てるという法令違反行為はいまだ後を絶ちません。
遺品整理業者は本来であれば、引き取った遺品は遺族の要望があればお焚き上げをしたり、リサイクル品として扱うなど国や自治体のルールに基づいて適切な処分をしなければなりません。
しかし、不法投棄をして処分費用を抑えて利益を出そうと考える悪徳業者は存在します。
悪質な遺品整理業者に依頼した人達も罰則の対象となってしまう可能性があるのが恐ろしい点です。遺品を不法投棄する業者だと知らなかったとしても、罰則が依頼者側に適用されてしまうこともあります。
3. 業者だけじゃない!親族同士でも起こる遺品整理トラブル
ここまでは業者との間に起こりうるトラブルに関して説明してきましたが、必ずしも業者が悪いというわけではなく、間違って悪徳業者に依頼するとこんなに怖いんだ…ということをお伝えいたしました。
しかし、遺品整理においてのトラブルは何も業者との間だけではありません。残念ながら親族間でもさまざまなトラブルが起きてしまうのです。
親族間で起こるトラブルとして挙げられるのは、
- 口約束によるトラブル
- 遺品整理を勝手に進められてしまうなどのトラブル
- 遺品の取り扱いによるトラブル
- 第三者が出てくるトラブル
- 財産相続に関するトラブル
- 遺品整理の費用に関するトラブル
この6つです。では順番に見ていきましょう。
口約束によるトラブル
親族間で揉める内容として多いのは口約束によるトラブルです。生前母親から「預貯金の100万円はあなたにあげるから」と言われていたとして、それが遺言書やエンディングノートに残されていない口約束になってしまってはいませんか?
いざ亡くなって遺品整理をするときに、口約束でした内容を周囲に伝えると一気に雲行きが怪しくなってしまいます。というのも、何も形に残っていない以上はそれが本当のことなのか嘘なのか、見分けることができないからです。もしそれが本当だったとしても、残念ながら周りの親族は納得してはくれません。
遺品整理のタイミングに申し出てもトラブルになってしまうので、権利関係を明確にしながら話を進めていくようにしましょう。口約束によるトラブルは実際のところ本当に多く、”あの時きちんと遺言書に書いてもらっておけば…”などと後悔するトラブルでもあります。
遺品整理を勝手に進められてしまうなどのトラブル
相続人が複数いる場合、時間が合わず集まれない日が続いているうちに勝手に遺品整理が進められてしまった…などのトラブルもあります。
あまり知られていないかもしれませんが、遺品整理は必ず他の相続人に許可をとってからでないと進めてはいけません。
しかし、中には「時間が合わなかったから」などの理由で勝手に進めてしまう人もいます。そう言った場合、欲しい物があったから立ち会いたかったのに…なんていう揉め事になってしまうことも。遺品整理についてはゴミなど誰が見ても不用品とわかるもの以外は、勝手に処分しないのが基本です。
遺品の取り扱いによるトラブル
遺品整理が難しいのは、その人によって物の価値が違うことです。
誰かの目からみれば不用品だと思ってしまうようなものでも、他の人の目から見ると思い出の詰まった価値のあるものかもしれませんよね。金銭的な価値だけでなく、精神的な価値など目には見えない部分を重視することもあり得ます。
財産的な価値だけで遺品整理を進めてしまうと、業者との間のトラブル同様に、親族同士の間でも価値観の相違が出てきてしまいます。遺品整理は相続人が揃って行ったほうが良いと言われるように、思い出の品をどの程度残しておくのか話し合いの場を設けることはとても大切です。
前述したトラブルと同じように、勝手に処分してはいけません。一度処分してしまったものは二度と取り戻せませんし、親族同士の大きなトラブルになってしまいます。
第三者が出てくるトラブル
遺品整理になってはじめて隠し子などの第三者から連絡が入ることもあります。
顔を合わせたこともなければ名前すら聞いたことがない相手でも「あなたなんて知りません!」と拒絶するのはお勧めしません。親族の誰も知らなかったとしても、実際に戸籍を確認してみたら隠し子の存在が浮き彫りになることもあります。
もしも第三者が出てきた場合も、まずは話し合いの場を設けること、そのうえで遺品整理の進め方に付いて話し合っていきましょう。
はじめから拒絶するのではなく、中には”財産は必要ない”というケースもあります。しっかりと話してみないことには分からないことなので、第三者が出てきてしまった場合も慌てずに対応していきましょう。
財産相続に関するトラブル
耳にしたことがある方も多いとは思いますが、財産の相続は、どのような割合で、誰にいくらを相続するといった遠い昔から続く終わらないトラブルです。
故人の意向が書かれた、遺言書やエンディングノートに従うのがもっともトラブルなく財産相続する方法ですが、急逝されたり遺言書などがない場合もあります。どうしても話し合いで決まらなければ家庭裁判所に介入してもらうのも手段のひとつです。
遺品整理の費用に関するトラブル
遺品整理を業者に頼んだ場合、思った以上に費用がかかります。
<遺品整理業者の料金相場>
間取り | 料金相場 |
---|---|
1R・1K | 30,000〜75,000円 |
1DK | 50,000〜120,000円 |
1LDK | 70,000〜180,000円 |
2DK | 90,000〜230,000円 |
2LDK | 120,000〜300,000円 |
3DK | 150,000〜400,000円 |
3LDK | 160,000〜550,000円 |
4LDK以上 | 250,000〜750,000円 |
この費用を、誰がどんな割合で、いくら分支払うのかを巡って、親族間でトラブルになるケースも後を立ちません。この表を見る限り、かなり高額になるので揉めてしまうのも理解できますよね。
財産相続する前に、相続する財産の中からこの費用を捻出してしまえばトラブルもきっと防げるはずです。
遺品整理はデリケートな問題なので、遺品整理業者、親族同士、そのどちらの間でもトラブルが起きてしまう可能性は大いにあります。しかし、実はトラブルにならないためにできることもあるのです。
次の項目から、遺品整理業者、親族同士、それぞれのトラブルを防ぐ方法をご紹介していきます。
4. 遺品整理業者とのトラブルを回避するには?
先程ご紹介した遺品整理業者との7つのトラブル事例は、あくまでもごく稀に存在する悪徳業者が意図的に引き起こした問題です。
ほとんどの遺品整理業者が真剣に依頼者と向き合い、ニーズに応えた依頼する価値のある遺品整理サービスを提供しているということをご理解いただけますと幸いです。
業者とは言っても、対人である以上は伝え忘れや多少のミスは起きてしまうものです。このようなトラブルが発生したからといって、そのすべてが悪徳業者であるとは限りませんよね。
悪徳か優良か判断する以前に、遺品整理業者とのトラブルを防ぐために、自分たちでできることもあります。「国民生活センター」にて公開されている記事も併せて読むとより理解が深まるかもしれません。
遺品整理の基本知識を持つ
遺品整理に必要な基本知識があれば、悪質な遺品整理業者に違和感を持ち、契約を避けることができます。
具体的には、遺品整理に必要な許可や主な作業内容と相場価格などの知識です。
また、遺品をリサイクルするルートがあることを知っていれば、「回収した遺品はどのように処分されるのか」と疑問を感じ質問することができますよね。
おかしな回答や曖昧な回答をする業者であれば、見分けることができるでしょう。
また、遺品整理に資格や許可が必要なことを知っていれば「許可証の提示」を求めることで悪徳業者を避けることができます。
複数の業者から見積もりを取る
遺品整理に時間をかけられる方は複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。なぜなら、遺品整理の相場を知らないと、高額請求だと知らずに料金を支払ってしまうかもしれないからです。
相見積もりを取ることで料金だけでなくスタッフの対応の違いも確認できるので、より優良な遺品整理業者を選択することができるはずです。
複数人で立ち会うようにする
業者の訪問見積もりや遺品整理作業の際には、できるだけ複数人で立ち会うことで悪質な業者の行動を抑止することにつながります。
特に買取を含む遺品整理の見積もりは、遺品の価値に見合わない相場価格以下の値をつけられることを防ぐ効果もあります。
もしも「今すぐ契約すれば〇〇円割引いたします!」などと契約を急かされても、複数の身内のうち一人でも冷静に金額や作業内容を判断できれば、契約を回避することができますよね。
作業当日の立ち合いが難しい場合は、訪問見積もり時だけでも立ち合い人数を増やしておくことをお勧めします。
貴重品は自分たちで保管しておく
遺品整理業者が来る前に、先に実家などの現地で遺品や室内の様子を把握しておきましょう。その際、貴重品をできるだけ回収して保管しておくことでトラブルを未然に回避できます。
特に実家の遺品整理では、依頼者自身が遺品の内容を把握できてないケースが多いです。
驚くかもしれませんが田舎の場合、数十万円のタンス預金が見つかることもあります。その他には、タンスや仏壇の引き出し、本棚や書籍の間、ジャケットやコートなど衣類のポケット、押し入れを一通り確認しておくと安心かもしれません。
貴重品の有無を確認してから業者に作業に入ってもらえば、盗難に遭うことも、業者を疑うストレスも避けることができるはずです。
キャンセル料金の確認をする
契約の際は万が一に備えて、キャンセル料金の有無など確認をしておくことをお勧めします。
というのも、宿泊施設などの予約のキャンセルと同様に、遺品整理にもキャンセル料金が発生するからです。
故人の借金が発覚したりして相続放棄の手続きが必要になった場合や、他の業者へ依頼し直したいなど、さまざまな事情でキャンセルする可能性もゼロではありませんよね。
一般的には、前日からキャンセル料は契約金額の20%〜全額になるケースが多いようです。キャンセル料の発生時期とキャンセル料金はいくらか、クーリングオフについて必ず確認しておくことでトラブル回避につながるでしょう。
5. 遺品整理で親族同士揉めないようにするには?
遺品整理でトラブルが起きてしまうと、どんなに仲の良かった親族同士であっても取り返しがつかなくなってしまうこともあります。一度トラブルになるとお互いに冷静さを失ってしまうので、何度も揉めてしまい最悪縁を切るようなトラブルに発展することも。
ここからは、親族同士での遺品整理のトラブル回避法を見ていくことにしましょう。
親族間で話し合いの場を設ける
まず大切なのは、遺品整理を行う前に親族全員としっかり話し合っておくことです。
親族が集まる葬儀後や、四十九日の法要後に、以下の内容についてお互いの意見を話し合うことをお勧めします。
- いつ、誰が、遺品整理をするのか
- 業者に頼む場合の費用はどうするのか
- 遺産をどのように分けるのか
- 形見分けで希望する品はあるか
決して自分の意見を伝えるだけにならないよう、相手の意見にも耳を傾けましょう。
遺品整理は、できるだけ親族全員で行う
遺品整理はできるだけ親族全員で行うようにすることも、トラブルを回避する上で大切なことです。
一人で遺品整理をすると、もちろん体力的な負担も大きくなりますし、遺品が紛失した場合など他の親族にあらぬ疑いをかけられかねません。
全員が難しいなら、複数人でも問題ありません。できる限り親族全員が納得できる形で遺品整理に取り組むことが理想です。
遺品整理中にも度々話し合いをする
遺品整理中にも親族間でこまめな話し合いをすることも大切です。
誰がどう見てもゴミではないものを家族や親族に無断で捨ててしまうと、後にトラブルを引き起こします。
財産的な価値が感じられないものだとしても、勝手な判断で処分してしまう前に「これって捨てても大丈夫かな?」と必ず確認しましょう。
遺品整理業者に依頼する
遺品整理業者に依頼することも親族間のトラブル回避するひとつの手段です。
話し合いの結果、遺品整理を行えそうな人がいなかったり、親族間同士で進めるとトラブルが起こりそうだと予測できるのであれば、思い切ってプロにお任せしてしまいましょう。
業者が間に入り、ひとつずつ遺品の確認することで、親族全員にとって公平に遺品の内容を整理できるはずです。また、業者ならものの仕分けだけでなく、面倒なゴミの処分や遺品の供養、遺品整理後のハウスクリーニングまで丸ごとお任せできます。
ただし、業者を選ぶ際には、前項でお伝えしたことを参考に、悪徳業者にだけはくれぐれも注意するようにしてくださいね。
6. 悪徳業者と優良業者を見極めるポイント!
これまでご紹介した内容を参考し、自分自身で気を付けておけば、相手が悪徳業者であってもある程度のトラブルは防げます。しかし、できれば悪質な業者とは関わりたくないですよね。
そんなとき、誰もが「優良な遺品整理業者だとわかる方法はないの?」と思うかもしれません。と同時に、悪質な遺品整理業者がどんなものかも知っておきましょう。
現在、遺品整理業を展開しようと新たに参入する業者が増えてきているものの、実際のところ法整備が追い付いておらず、業界における規制法やガイドラインが定められていないのが現状です。
つまり、遺品探索や不用品との仕分け、遺品供養の代行サービス、簡単なハウスクリーニングを事業として行うための資格はないということです。
この現状を逆手に取って、不当な高額請求や不法投棄など、悪質な業務形態の業者が紛れ込み、優良な遺品整理業者までも疑いの目を向けられてしまっています。知らない方も多いのですが、悪質な遺品整理業者にはいくつか特徴があります。
<悪質な遺品整理業者の特徴4つ>
- 相場価格より安い
- 「安さ」だけがセールスポイント
- ネットや電話だけで契約しようとする
- HPの情報が薄い
この4つです。
悪徳業者の特徴① 相場価格より安い
ネットの情報や訪問見積もりの金額が相場より明らかに安い時は、悪質な業者の可能性が高くなります。
当初の見積もり金額を安く提示し、後から追加料金を加算する不当な請求や不法投棄による違法な方法で遺品を処分している恐れがあります。
先程表の方で簡単にご説明いたしましたが、遺品整理にかかる費用は1Rであっても30,000円以上かかります。
「遺品整理15,000円より」など相場から大きくかけ離れた金額がHPに書いてある場合は問い合わせも避けた方が無難かもしれません。
悪徳業者の特徴② 「安さ」だけがセールスポイント
「どこよりも安く」、「全てコミコミで○万円」など、安いだけを主張する遺品整理業者は、作業の質を期待できません。
遺品整理には人件費・車両費・遺品の処分費用、要望によっては供養のため住職に支払う費用もかかり、それらの必要経費はコストカットするにも限界があります。
遺品整理は丁寧に仕分けなければならず、知識や経験も必要とされます。安い裏側には従業員の劣悪な労働環境や不法投棄などどこかにしわ寄せがきています。
サービス内容も素晴らしい業者であれば、当然セールスポイントとして堂々とアピールしているはずです。
悪徳業者の特徴③ メールや電話だけで契約しようとする
メールや電話だけで見積もりし、本契約させようとする遺品整理業者には要注意です。
なぜなら、相場価格が安い場合と同様に、当日に追加料金が発生する恐れや最初から相場より高い金額を設定している可能性があるからです。
遺品の量や遺品整理先の立地条件、買取可能な遺品の数・価格によって大きく費用が変動するため、遺品整理を行う際に訪問見積もりは必須です。
訪問見積もりという、省いてはいけないコストを省くのも悪徳業者の特徴のひとつです。
悪徳業者の特徴④ HPの情報が薄い
悪質な遺品整理業者はそもそもHPが存在しないか、あるいは薄い内容であることが特徴です。
具体的には、デザイン重視の1ページのみの場合や、会社の所在地や代表者の名前が記載されていない、連絡先も携帯番号しか書かれていない場合などです。
その他には掲載内容にウソが書かれている、事例が記載されていても的外れで参考にならない、スタッフ写真がフリー素材であるなど。
優良な遺品整理業者であれば、会社代表の挨拶や企業理念、取得している資格、料金体系がわかりやすく書かれており、スタッフ全員の顔写真などが公開されていたりと、依頼者が安心して利用するための情報がきちんと記載されています。
このような特徴が悪質な遺品整理業者には見られます。
それとは反対に、優れた遺品整理業者の特徴は以下の3つです。
<優良な遺品整理業者の特徴3つ>
- 「遺品整理士」の資格を取得した人が在籍している
- 利用料金がわかりやすい
- 必要な許可や資格を取得している
優良な遺品整理業者なのか見分けるポイントをしっかりと理解し、よりトラブルや被害を回避していきましょう!
優良業者の特徴① 「遺品整理士」が在籍している
「遺品整理士」は、遺族に代わって亡くなった人の遺品を整理する仕事をします。遺品整理士には民間の資格があり、代表的なのが「遺品整理士認定協会」となっています。
遺品整理士は、単に遺品を整理し、処分するだけでなく廃棄物やリサイクル品の取り扱いについての法規制や、遺品特有の事情についてもしっかり理解しています。
単なる片付けではなく、遺族の気持ちに寄り添いながら遺品一つ一つと向き合って適切な処理を行うのが遺品整理士の使命です。
法律に関わる相談についても、行政機関や各分野における専門家の紹介や手配をサポートしてもらうことができるので、依頼者にとってはとても心強いですよね。
遺品整理を行う上で必ず必要な資格というわけではないのですが、一定の知識を持った遺品整理のプロの証として、依頼者側には安心と信頼をもたらしてくれる存在です。
優良業者の特徴② 利用料金がわかりやすい
悪質な業者は不当な追加料金や高額料金を請求をしてくることもあるとお伝えしましたが、優良な遺品整理業者は料金表などで費用を明確に提示しています。
キャンセル料についてや違約金、オプション料金など、必要な費用の情報は必ず事前説明がありますし、作業内容についても追加や変更を見積書であったり契約書できちんと開示してくれます。
もしも、「これは何の費用?」と疑問に思う場合は、遠慮せず業者に質問することが大切です。優良な遺品整理業者であれば、依頼者側がきちんと納得するまで対応してくれるはずです。
優良業者の特徴③ 必要な許可や資格を取得している
遺品整理業者に見積もりを依頼する前に、「一般廃棄物収集運搬許可」や「古物商許可」を持っているかを確認しましょう。どちらもHPなどで簡単に確認することができます。
「一般廃棄物収集運搬許可」を持っていないと処分場へゴミが持ち込めず、不法投棄される恐れがあります。また「古物商許可」を取得していないと、遺品の買取ができません。
これらの許可を自社で持っていない場合は、別の提携業者へ依頼する必要があり、仲介料など費用がかさむ可能性が高くなってしまうので注意が必要になります。
悪徳業者の特徴4つを確認した上で、さらにこの3つのポイントを確認し問題なければ、優良な遺品整理業者と判断しても大丈夫でしょう。
まずは遺品整理について自分たちでできることをして、その上で優良な業者かじっくり見極めてから依頼するのをお勧めします。
7.トラブルが起きてしまったらここに相談!
これだけのことに注意をしていても、トラブルを防げないこともあるかもしれません。では、実際に何らかのトラブルに巻き込まれてしまったら、一体どうすれば良いのでしょうか?
遺品整理業者との間でトラブルが起きてしまったら、泣き寝入りする前に、一度相談をしてみることをお勧めします。
内容や状況によっては、残念ながらトラブルは解決しない場合もたくさんありますが、モヤモヤを残したまま遺品整理を終わらせるよりも、きっと良い結果をもたらしてくれるでしょう。
遺品整理のトラブルで困ったときは、消費者ホットライン
国の機関である消費者庁が、消費者生活相談窓口を運営しています。遺品整理に限らず何かトラブルがあったときは、一人で悩まずにとりあえず電話してみましょう。地域の消費生活センターなどの相談窓口を紹介してもらえます。
- 消費者ホットライン
電話番号:118
市民の強い味方!消費生活センター
消費生活センターは行政機関のひとつです。お住まいの地域、あるいは、遺品整理を行った地域の消費生活センターにトラブルを相談すると、クーリングオフなどの解決方法を教えてもらえます。
「国民生活センター」と「消費生活センター」はどう違うの?と疑問に思う方もいらっしゃいますが、
結論からいうと、国民生活センターは国で、消費生活センターは地方の管理です。
提携しているので、どちらに相談しても大丈夫です。しかし訪問することを考えると全国に約800か所ある地元の消費生活センターに相談した方が便利です。
消費者ホットラインから、地域の消費生活センターを紹介してもらえるのでぜひ活用してみてください。
遺品整理不正防止情報センター
一般社団法人「遺品整理士認定協会」が運営する、民間の組織です。
遺品整理に関するトラブル、苦情、不正、不法投棄などの報告を受け付けており、必要に応じて、消費生活センターや警察へトラブルの報告・通報を行ってもらえます。
各地域で運営している、遺品整理事業の優良業者の紹介も行っています。
問題解決が難しいなら弁護士に相談する
消費生活センターなどで問題解決が難しい場合は、法律の専門家である弁護士に相談するのも一つの方法です。
なお、法テラスでは経済的に余裕がない方が法的トラブルにあったとき、必要な場合弁護士・司法書士費用等の立て替えを相談することも可能です。
基本的には、弁護士に解決を依頼するには高額のお金が必要になりますので最終手段だと思っておきましょう。まずは消費生活センターや消費者ホットラインで遭遇した遺品整理トラブルについて相談をした上で、解決が難しい場合は弁護士を紹介してもらうなどの方法をお勧めします。
身の危険を感じたら警察に相談する
強引に契約しようとする勧誘や、業者の横暴な振る舞いで身の危険を感じたら迷わず110番に通報し警察を頼りましょう。緊急性がなければ、全国共通の相談窓口もあります。
- 警察相談専用電話:#9110
ここに連絡すれば電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。
相談業務を専門に担当する警察安全相談員がプライバシー保護や心情・境遇などに配慮しながら、対応してくれます。
8.まとめ
今回は、業者に遺品整理を依頼した際に起こりがちなトラブルと、親族同士で起きてしまうトラブル、そのトラブルの回避方法や実際にトラブルが発生した場合の相談先についてまとめてご紹介してまいりました。
遺品整理業者との間で起こるトラブルをおさらいすると、
- 契約に関するトラブル
- お金に関するトラブル
- 遺品に関するトラブル
- 遺品を勝手に処分されるトラブル
- 遺品整理業者の買い取りによるトラブル
- サービスの質に関するトラブル
- 不法投棄に巻き込まれるトラブル
この7つ。そして親族同士で起こるトラブルは、
- 口約束によるトラブル
- 遺品整理を勝手に進められてしまうなどのトラブル
- 遺品の取り扱いによるトラブル
- 第三者が出てくるトラブル
- 財産相続に関するトラブル
- 遺品整理の費用に関するトラブル
この6つでした。
もしもトラブルに巻き込まれたとしても相談できる先はいくつかありますし、場合によってはクーリングオフなどで費用が戻ってくるケースもありますので、遺品整理の際に嫌な思いをしたら一度相談してみましょう。
葬儀などは心構えのない中急に訪れるものですが、可能なら事前に親族同士の話し合いや信頼できる遺品整理業者を選定しておくなど、少しずつ準備を進めておくとトラブルが少ないかもしれません。
ぜひ、遺品整理の際の参考にしてみてくださいね!