早いものでもう2022年もあと数日となりました。
皆様のご自宅や会社などでも、もう門松やしめ飾りなどのいわゆる「正月飾り」は飾られたでしょうか?
今までなんとなくでこのくらいの時期に飾ってはいたけれど、実は正月飾りの正しい飾り方・捨て方を知らない…という方も実は多いのではないでしょうか。
縁起物ですから、正月飾りを普通に燃えるゴミとして捨てるとバチが当たるのではないかと悩んでしまいますよね。
そこで今回は、正月飾りはいつから準備して、そしていつまで飾るものなのか。そして役目を終えた正月飾りはどのように処分するかを解説していきたいと思います。
本記事を読んでおけば伝統的な日本のしきたりが学べ、また正しい手順で正月飾りを処分することができるようになります。それではまいりましょう!
まずは正月飾りの由来を知るところから
まずは主な正月飾りである、門松、しめ飾り、鏡餅、破魔矢の由来を見てゆきましょう。
門松
門松は家の門の前などに飾る竹や松を用いた飾りで、松飾り・立松・飾り松ともいいます。
1年間の豊穣や家内安全をもたらしてくれる年神様が、元旦に迷わずに家にたどり着けるための目印として立てるものです。
門松といえばまっすぐ刺さった竹が目立ちますが、実は本体は「松」にあり、「祀る(まつる)」にかかっていることから縁起物の樹木として正月飾りに使われるようになったとか。
しめ飾り
神道で使う神祭具であるしめ縄(注連縄とも)に、縁起物の紙垂や裏白、ゆずり葉やダイダイなどを飾り付けたのがしめ飾りです。
こちらも門松と同じく玄関に飾りますが、しめ飾りの役割は「玄関から不浄なものが入ってくるのを防ぐ」こと。
魔除けの意味も果たしているしめ飾りですが、年神様を歓迎する意味合いもあるため、年末年始はだいだいやゆずり葉で飾り付けをしているのです。
飾りをつけていない、「しめ縄」の状態であれば1年を通して張っても大丈夫です。
鏡餅
丸く平たく作ったお餅を大小重ねたものが鏡餅です。
お餅は普段食べている食事とは違い「晴れの日の食べ物」とされており、神聖なものです。
それを飾ることで「その年の豊作を祈願し、新しい門出を祝う」という意味があります。
上にみかんのような果物が載せてあることが多いですが、これはしめ飾りに使うものと同じ「ダイダイ」という柑橘類で、「代々栄える」という意味があり、さらに柑橘類の「きつ」は「吉」に通じるとか。
鏡餅にも大小様々なサイズがありますが、一番大きな物は神様の居場所とされる床の間に飾ります。床の間がない間取りの場合は家族の集まる部屋に飾り、それよりも小さな物は神棚や仏壇、さらに小さな鏡餅は個人の部屋や書斎、台所、子供部屋など年神様に来てもらいたい場所に飾るというのが一般的です。
地域によっては玄関は下座にあたるため鏡餅を飾ってはいけないという風習もありますので、飾る際は地元の文化を確認してみると良いでしょう。
破魔矢
その名の通り、「自分に降りかかる魔(災い)を破る」という縁起物の破魔矢。
神社やお寺で授与してもらうもので、年末年始だけでなく初節句や工事の安全を祈祷する上棟式でも用いられる縁起物となっています。
破魔矢は厄除けとしての意味合いだけでなく、矢を「射る」という動作からチャンスを「射止める」といったご利益もあるとされています。
昔は弓とセットで射礼や破魔打という占いに使われることが多かった破魔矢ですが、いつしか簡略化され矢だけ飾るという風習になったようです。
正月飾りは、いつ飾り始めたらいいの?
12月に入るとスーパーや雑貨屋さん、ホームセンターなどに並び始める正月飾り。
大掃除である「煤払い」や「松迎え」など、お正月の準備をし始める「正月事始め」と呼ばれる日が12月13日なのですが、その日以降であればいつから飾り始めても問題ありません。
しかし、より縁起を担ぎたいということであれば、避けた方がいいとされる日もあるので覚えておきましょう。
正月飾りを飾るのを避けた方がよい日
それは12月29日と12月31日です。
29日は12月最後の「9」が付く日ですが、元々「4」や「9」死や苦を連想させるからと祝いの席では敬遠されがちな数字です。
そこにさらに20が付くため29日は「二重苦」を連想させるとして、正月飾りを飾るのには適していないとされています。
そして大晦日の12月31日に正月飾りを飾るとすぐに新年になってしまい、年内に飾れるのは一夜だけとなってしまいます。これは「一夜飾り」と言って葬式の際に使う飾りを連想してしまうので良くないということです。
逆に正月飾りを飾るのにオススメの日
反対に、正月飾りを飾るのに適した日もあります。
それは12月28日です。「八」という漢字は末広がりで縁起が良い数字とされているため、その8が含まれている28日はおめでたい日というわけですね。
大掃除のスケジュールなどもありますが、もしいつ飾ろうかと迷っている方はこの日に正月飾りを飾ってみてもいいかもしれません。
正月飾りはいつまで飾っていていいの?
お正月も冬休みも終わり、お仕事も始まりだしたら正月飾りも外す時が来ます。
それぞれで外すタイミングが違うので、ひとつひとつ見ていきましょう。
門松としめ飾りは「松の内」まで
「松の内」とは、お正月をお祝いする期間のことで、関東と関西で期間が異なります。
関東では1月7日までを松の内としていますが、関西ではもう少し長く1月15日までは正月飾りを飾っていてもいいようです。なんと地域によっては1月20日までを二十日正月をしているところもあるそうです!
ちなみに真ん中の中部地方はどうなるの?と思って調べてみると、地域によって7日だったり15日だったりと混在していました。
関東地方を例に上げて話すと、1月7日の朝に七草粥を食べ、その後に門松としめ飾りを外すのがしきたりとなっています。
外した後の門松としめ飾りは、神社などで行われる「どんど焼き」や「お焚き上げ」で燃やして処分します。
鏡餅は「鏡開き」の日にいただこう
鏡餅は「鏡開き」を行います。鏡開きとは「新しい年を拓く」という意味のある行事で、包丁で切ってはいけません。木槌などで割る(開く)ようにして小さくしましょう。
最近は中で既に小分けにされている鏡餅も出ていますが、のし餅で作って飾ってあった鏡餅ですと固くて割るのが大変かもしれません。
他の飾りとは違いお餅ですので、飾り終えたら食べられるのがいいですね。
鏡開きの日は一般的には1月11日ですが、こちらも関西では15日であったり20日であったりとまちまちです。
破魔矢は1年飾っておいてOK
厄除けや魔除けに効果のある破魔矢だけは、年末年始だけの飾りと限定されているものではないためお正月以降も飾っておくのが一般的です。
飾る場所は神棚や家族が集まる部屋、また魔除けのご利益を願ってなら玄関などもおすすめです。
下に白い紙を敷き、先端を下に向けるか寝かせた状態で飾っておきます。
門松やしめ飾りを燃やすどんど焼きってどんな行事?
松の内が終わった1月15日前後には、全国の神社や地域の広場などで「どんど焼き」と呼ばれる行事が始まります。
各地で「鬼火たき」や「左義長」など呼び名が異なる場合がありますが、やることは同じです。
藁などでやぐらを円錐形に組み正月飾りや古いお札、お守りなどの縁起物を持ち寄って燃やし、宿った神様を天に帰します。
天に上る煙とともに神様に感謝を伝え、このどんど焼きの火であぶったお餅や団子を食べると一年間健康でいられるというご利益もあるそうですよ。
最近では環境問題の観点から、神社でのどんど焼きでもプラスチック素材や燃えない部品のある正月飾りは受け付けてもらえない場合もありますので、心配であれば近所の神社に確認してみたほうが良いですね。
もしどんど焼きの日に間に合わなかったら…
外した正月飾りをどんど焼きに持って行きたかったけど、どうしてもその日都合が悪くて処分のタイミングを逃してしまった…!
そんなとき、1年保管しておかないといけないのか…と諦めるのはまだ早いです。
もしかしたら、近くの神社で日頃からお焚き上げをしているかもしれません。
どんど焼きの日だけでなく、普段から縁起物をお焚き上げしてくれる神社もありますので、近くに神社があれば確認してみましょう。
神社によっては受け入れているのはお札やお守り、破魔矢などの小さなものだけで、門松などの大きなものは納めることができないこともありますので注意です。
自分で正月飾りを捨ててもいいの?
縁起物である正月飾り。なんとなくそのままゴミとして捨ててしまうのはためらわれますよね。
そんなときは、自宅で「お清め」してから捨てれば気持ちもスッキリします!
正月飾りをお清めする手順
- 白い布や新聞紙の上に正月飾りを置く
- 正月飾りに塩を振る
- 正月飾りの左右に塩を置く
- 敷いた布や新聞紙で正月飾りを包む
- 他のごみと一緒にせず、正月飾りだけで新しい袋に入れて捨てる
他にもお酒で清めて捨てる方法などもありますが、もしどんど焼きなどの習慣のない地域にお住まいであれば、こういった方法で正月飾りは捨てることができます。
プラスチックや針金など、自治体によっては燃えるごみに一緒くたに捨てられない部品が混ざっている正月飾りもありますので、分別のルールは事前に確認しておきましょう。
実は正月飾りはお清めせずに捨ててもいい!
日本人は物を大切にし、物には神様が宿るという信仰を大切にしているので正月飾りを捨てる際にもお清めをする方が多いですが、実は自治体の普通ごみにそのまま混ぜて捨ててしまったとしても問題はないのです。
捨てる際に感謝の気持をもって処分することが大切ですが、それさえ守っていれば本来はそのまま捨てても大丈夫です。
あまり難しく考えず、ご自身の気持ちでどのように処分するかを判断するといいですね。
正月飾りは来年も同じものを使ってもいい?
近頃は、リースのようなハンドメイドのしめ飾りや、ガラスや木でできた可愛らしい鏡餅など、年末年始だけで捨ててしまうにはもったいないような正月飾りも多いですよね。
伝統的な考え方を尊重するのであれば、正月飾りは家にやって来てくれる年神様をお迎えするためのものであり、年神様の依代となるものなので、去年のものを使い回すのは失礼にあたります。
そのため毎年新しいものを飾るのが一般的ですが、最近のインテリア性の高い正月飾りはクリスマスツリーのような「飾り物」としての意味合いも強くなってきていますので、そうした場合は翌年も同じものを使ったとしても問題は無いでしょう。
ただ見た目がキレイだからといって1年中飾っておかず、松の内が終わったら普通の正月飾り同様に片付けるようにし、大切に保管しておくのが良いですね。
まとめ
いい年をお迎えして、来年も1年頑張ろう。
大掃除やお正月の準備は、そんな清々しい気持ちにさせてくれますよね。
正月飾りを飾ることもその行事の一環ですが、飾ったあとの捨て方は意外と知らないことも多いものです。
基本的には松の内が終わったあとに神社でのどんど焼きにお納めしたり、鏡餅であれば鏡割りを行えばよいのですが、年始の業務が始まったらなかなか神社に行くタイミングが取れない方もいらっしゃると思います。
そうした方はお正月を過ごせたことに感謝し、自治体のルールでごみとして正月飾りを捨てても大丈夫です!
これを知っておけば、捨て方がわからなくてこれまで正月飾りを飾ってこなかった方も、より気軽にお正月気分を味わいやすくなったのではないでしょうか?
2023年も出張回収センター編集部では、様々な物の処分方法に関するお役立ち情報を発信してまいります!
皆様の2023年も佳き年になりますよう、一同心からお祈り申し上げます。