電源のない場所に持ち運んで、家電や電子機器に給電できる「ポータブル電源」。
キャンプや車中泊などのアウトドアシーンだけでなく、台風や地震の際の停電時に使用できるということで、防災面としても需要が高まっています。
しかし、古くなったり買い替えたりした際の処分方法は知らないという人も多いのではないでしょうか。
ポータブル電源は「重い」「発火の危険性がある」といったことから、捨てる際にも注意が必要です。
今回はポータブル電源の正しい処分方法や、売却のポイントについて詳しく解説していきます。
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処分が難しい?ポータブル電源の処分前に確認したいこと
近年、需要が高まりつつある「ポータブル電源」とは言え、その処分方法についてメーカーのホームページや自治体では明記していないことも多いものです。
そもそもポータブル電源とは「リチウムイオン電池を搭載し、持ち運びが可能な大容量バッテリー」のこと。
スマートフォンの充電に使用される「モバイルバッテリー」を大容量化したものとも言われます。
モバイルバッテリーが大きくなったもの、と言われるとわかりやすいですが、捨て方についてはモバイルバッテリーよりもかなり難しくなります。
回収ボックスや家電量販店では廃棄できない
モバイルバッテリーの場合、自治体のホームページで捨て方について明記されていることがほとんどです。
また、小型家電リサイクルの回収ボックスや、家電量販店での回収もおこなっており、比較的簡単に処分することができるでしょう。
一方でポータブル電源はこのような、回収ボックスや家電量販店での回収は基本的には利用できません。
自治体での回収やメーカー回収が推奨されていますが、住んでいる地域やメーカーによって対応が異なるため、自身で調べて廃棄する必要があります。
やってはいけない処分方法
簡単に処分ができないポータブル電源ですが、だからといって適当に自己判断で処分するのは危険です。
次のような処分方法は大きな事故や火事に繋がる可能性があるため、絶対にしないよう気を付けてください。
NG1.ポータブル電源を可燃ごみとして処分する
ポータブル電源は、通常のごみと一緒にごみ収集車で回収することはできません。
ポータブル電源にはリチウムイオン電池が搭載されていることも多く、このリチウムイオン電池は衝撃や圧力が加わると発火する性質を持っているため大変危険です。
もしポータブル電源を「可燃ごみ」で出してしまうと、ごみ収集車の火災事故が起きる可能性もあるため、必ず自治体の指示に従い適切に処理をしましょう。
NG2.自分で分解する
ポータブル電源の分解には、専門的な知識や技術が必要になります。
自己判断で分解をしてしまうと内部の部品を損傷してしまうだけでなく、感電やケガといったリスクもあるため危険です。
故障の疑いがあるときも分解はせず、メーカーに問い合わせるようにしましょう。
NG3.不法投棄・屋外に放置して処分
捨て方がわからないからと言って、放置しておくのも火事を引き起こす可能性があり危険です。
特にベランダや倉庫などは直射日光が当たったり温度が高温になったりして発火の危険性が高まります。
また、ポータブル電源を不法投棄すると「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」が科せられる可能性があるため、必ず適切に廃棄しましょう。
ポータブル電源の処分方法
ポータブル電源は、自治体での回収をおこなっていない地域もまだまだ多いものです。
廃棄する際は次の選択肢の中から自身に合った方法を選びましょう。
処分方法1.自治体に回収できるか確認する
自治体での処分については、まずはお住まいの地域でポータブル電源を回収してくれるか調べてみる必要があります。
ポータブル電源やリチウムイオン電池の処分方法は、国ではなく各自治体に判断を委ねており、自治体へ確認しなければなりません。
多くの自治体では「ポータブル電源は回収不可」であったり、回収品目リストに載っていなかったりと対象外であることが多いようです。
とは言え、自治体によってはポータブル電源のバッテリーである「リチウムイオン電池」を含め、回収をおこなっている地域もあります。
また、自治体で回収をおこなっていない場合でも、市役所の窓口へ問い合わせると処分方法について回答してくれることも。
不明な点は自治体へ問い合わせをし、確実に処分できるようにしましょう。
自治体で回収できる際のポイント
- 自治体で「ポータブル電源」の回収をしているところは少ない
- 自治体で回収がある場合は「粗大ごみ」や「危険ごみ」などに該当
- 自治体によっては処分業者を紹介してもらえる
自治体によっては指定の処分業者を紹介してもらえる場合もあります。
このような業者ではサイズ(立米単価:1㎥)によって料金が決められており、「一般廃棄物」「産業廃棄物」のどちらかによっても料金が異なります。
自治体によっても相場が異なるため、自治体や処分業者へ問い合わせてみましょう。
処分方法2.メーカーに回収してもらう
ポータブル電源を販売しているメーカーによっては、古いポータブル電源を引き取ってくれる場合があります。
自治体での処分が困難な場合はメーカーへ問い合わせてみてはいかがでしょうか。
ポータブル電源を販売している他のメーカー数社の対応については以下の通りです。
メーカー | 対象商品 | 費用 |
---|---|---|
Anker(アンカー) | ・Ankerポータブル電源本体 ・正規販売店以外、中古で購入した製品も対象 | 無料 送料は自己負担 |
Jackery(ジャクリ) | ・日本国内で販売されたJackeryポータブル電源本体 ※ソーラーパネル、アクセサリー品は除く | 無料 送料は自己負担 |
EcoFlow(エコフロー) | ・EcoFlowポータブル電源本体 ・正規販売店以外、もしくは中古で購入した製品も対象 | 無料 送料は自己負担 |
JVCケンウッド | 要問合せ JVCケンウッドカスタマーサポートセンターへ | |
BLUETTI(リサイクルサービス) | 日本国内で販売されたBLUETTI ポータブル電源本体 ※ソーラーパネル、アクセサリー品は除く ・お住まいの自治体で回収できない場合かつ正規販売店で購入の場合に限る | 無料 送料は自己負担 |
SABUMA(サブマ) | ✕ 2024年10月にSABUMAポータブル電源に関する一切の業務が終了 |
基本的にはどのメーカーも自社製品のみの回収となっています。
また、メーカーによっては回収をおこなっておらず、その際は自治体での処分やほかの処分方法を検討しなくてはなりません。
メーカーへの発送先はホームページに記載の「回収窓口」宛てとなります。
ポータブル電源は取り扱いに注意が必要ですので、梱包資材や緩衝材を使用し、荷物の品名に「リチウムイオン電池」や「ポータブル電源」と記入するなどの配慮をしましょう。
処分方法3.JBRCの回収BOXを利用
「JBRC」とは充電式電池の回収をおこなっている一般社団法人です。
モバイルバッテリーやスティック式掃除機のバッテリーを含め、JBRCに加盟しているメーカーが製造した充電式電池を回収しています。
回収場所は指定窓口や家電量販店などが指定されているため、近くに回収BOXがないか公式サイトの「協力店検索」で探してみましょう。
ただしJBRCの加盟企業の製品でなければならないという条件があり、お手持ちのポータブル電源のメーカーが対象かどうか、確認する必要があります。
加盟店かどうかの確認は「JBRC公式サイト」でおこなえます。
先ほどご紹介したメーカーについて、JBRCの回収BOXを利用できるメーカーは以下のとおりです。
メーカー名 | |
---|---|
Anker | 〇 |
Jackery | ✕ |
EcoFlow | ✕ |
JVCケンウッド | ✕ |
BLUETTI(リサイクルサービス) | ✕ |
SABUMA | ✕ |
このほかのメーカーについてはJBRCのホームページでご確認ください。
家電量販店に設置してあることもある「JBRCの回収BOX」ですが、ポータブル電源は大きさもあり、BOXに入らないこともあるかもしれません。
事前に設置してある店舗に確認するのがおすすめです。
処分方法4.不用品回収業者に依頼する
メーカーや自治体での回収をおこなっていない場合も多いポータブル電源は、いざ処分するとなると重さや大きさが負担になるものです。
自治体やメーカーでの処分ができない場合以外に、自分での持ち運びが困難な場合や、急いで処分したい際には「不用品回収業者」がおすすめです。
不用品回収業者は家庭やオフィスから出たさまざまな不用品を回収してくれる業者ですので、「自家用」「業務用」に関わらずポータブル電源を回収してもらえます。
依頼後はスタッフが引き取りにきてくれるので運搬の必要もなく、手軽にポータブル電源を処分することができるでしょう。
また、不用品回収業者は処分が面倒なポータブル電源のほかにも、不用品をまとめて処分することができるため、断捨離や大掃除のときにも大変便利です。
例えばポータブル電源と一緒に使うことの多い、キャンプ用品や家電なども一緒に引き取ってもらうことができ、場合によっては解体もお任せできます。
ポータブル電源一つの引き取りだと費用が割高になりがちなので、自宅の不用品をまとめて処分するのがよいでしょう。
このように便利な不用品回収業者ですが、利用には費用がかかるため、事前に見積もりを取ることがおすすめです。
最近ではホームページから簡単な見積もりや相談をおこなえることもあるため、気になる業者があればチェックしてみましょう。
ポータブル電源は売却可能?
不要になったポータブル電源は中古でも需要があるため、高額で買い取ってもらえる可能性があります。
ここでは買い取ってもらえるポータブル電源の特徴や、売却のポイントについてご紹介します。
売れるポータブル電源の特徴
売却が期待できるのは以下のようなポータブル電源です。
- 未使用、新品のもの
- 使用頻度が少なく、製造年数が新しいもの
- 人気メーカーのもの
電気製品には寿命もあるので、処分を検討しているならできるだけ早く査定を受けて売ってしまいましょう。
特にポータブル電源は充電回数が限られているので、使用頻度が多い場合は2~3年程度で寿命になってしまうと考えておくほうがよさそうです。
一方で以下は、買取不可となりやすいポータブル電源の特徴です。
- 製造年数から3年以上過ぎている
- バッテリーが膨張や発熱している
- 傷や汚れが激しい
- 購入時安価だった
- 無名のメーカーの製品
このようなポータブル電源は買取不可となるか、買い取ってもらえても安価となることがほとんどです。
買取店へ持ち込んだ場合、買取不可になると引き取ってはもらえず、持ち帰らないといけないため注意しましょう。
売却ポイント1.人気のメーカーについても早めに売却がおすすめ
比較的新しいポータブル電源や未使用の製品だと高価買取される傾向にありますが、人気メーカーのポータブル電源であれば、さらに高価買取が期待できます。
人気のメーカーは次のとおりです。
- Anker(アンカー)
- Jackery(ジャクリ)
- EcoFlow(エコフロー)
- JVCケンウッド
- SmartTap(スマートタップ)
- LACITA(ラチタ)
- ASAGAO(アサガオ)
- suaoki(スアオキ)
有名なメーカーの製品は、「PSEマーク」がついているなど安全性に配慮され、機能面についても品質が高いものが多いことから、買取価格が高くなりやすいでしょう。
ただしこのようなメーカー品の人気モデルであっても、後継機が発売されると買取額が下がってしまうことがあるため、早めに売却するのがおすすめです。
売却ポイント2.アウトドアシーズンの前に売るのがおすすめ
家電製品は、買取需要が高まる少し前に売却すると買取価格がアップする傾向があります。
ポータブル電源はアウトドアシーズンに活躍するため、そのシーズンより少し前に査定に出しましょう。
日本のキャンプシーズンは夏、7月中旬~8月のお盆終わりくらいがピークですので、7月上旬頃までには売却するのがおすすめです。
売却ポイント3.付属品を揃えて売る
購入時についていた箱や説明書、保証書などが揃っていれば、より高い金額で買い取ってもらえる可能性があります。
ほかにも、以下のようなものがあれば一緒に査定に出すのがおすすめです。
- スペアバッテリー
- ソーラーパネル
- シガーソケットケーブル
- 電源コード
売却ポイント4.キレイな状態にしてから査定に出す
屋外で使用することも多く、汚れてしまいがちなポータブル電源ですが、査定に出す前になるべくキレイな状態にしておくのが望ましいです。
次のようなお手入れと一緒に、動作確認もしておきましょう。
- 泥などの汚れを落とした後、中性洗剤を使用して本体をキレイにする
※アルコールなどの薬品は本体の変質や発火の可能性があるため、使用しない - 本体・ケーブルに破損している場所がないかや、コンセントの穴に土やほこりなどのごみが入っていないか確認
※コンセントの穴にごみが入っていた場合は感電の恐れがあるため、電源を切ってから取り出す
また、保管する際は高温多湿な場所や気温が低すぎる場所を避け、ポータブル電源の向きを逆さにしたり、傾けたり、横倒しで置かないようにしましょう。
普段使用した後に定期的なメンテナンスをおこなうことで、ポータブル電源の寿命を長く伸ばす効果も期待できます。
ポータブル電源を売却する方法は2つ
ここからは、ポータブル電源を買い取ってもらう方法についてご紹介します。
1.買取専門店・リサイクルショップで売る
買取専門店やリサイクルショップでも、状態の良いポータブル電源であれば買い取ってもらえます。
ポータブル電源の買取をしてくれる買取専門店は、次のような店舗です。
- アウトドア用品の取り扱いがある買取店
- 電動工具、業務用工具などの買取店
- 家電の買取店
- 大手リサイクルショップ
このようにアウトドア用品や電動工具類、家電などの取り扱いがある店では買い取ってもらえることが多いです。
こうした買取店では買取に特化し、ポータブル電源に関しても知識が豊富なスタッフが査定するなど高価買取が期待できます。
一方、大手リサイクルショップである「ハードオフ」や「セカンドストリート」でもポータブル電源の買取に対応しています。
リサイクルショップであれば、他のさまざまなジャンルの不用品があった場合も一緒に査定に出せるため、状況に応じて選択するとよいでしょう。
2.フリマサイト・ネットオークションで売る
フリマサイトやネットオークションでポータブル電源を出品し、売却することもできます。
普段自分が使用しているフリマサイトなどでポータブル電源を検索し、出品の例や相場を調べてみてはいかがでしょうか。
この方法であれば自分で価格を設定できるため、ほかの買取店より高く手放せる可能性もあります。
とは言え、こうしたフリマサイトやネットオークションでは、必ず売れる保証がありません。
また、ポータブル電源の状態を正確に伝えておかないと、取引後にトラブルになる可能性も。
出品の際の説明や写真で、傷や不具合の有無や使用年数、動作確認済みかなどを伝え、購入者に納得してもらってから取引をおこなうようにしてください。
さらに発送時には「底抜けしないようにしっかりとテープを貼って梱包する」「破損防止のために緩衝材を敷き詰める」「水濡れ防止のため本体はビニール袋で包む」といったことに配慮しましょう。
そのほか、ポータブル電源のような「リチウムイオン電池」を使用しているものは、配送業者によっては注意事項があるため、ホームページや問い合わせで確認しておくと安心です。
なお、落としたりぶつけるといった衝撃をくわえたり、高温の場所に置いていたなどの不適切な保管の仕方をしていたポータブル電源は発火の可能性があります。
輸送中や購入者の元に届いて使用する際に発火するなど、思わぬ事故につながる可能性があり大変危険ですので、廃棄処分するようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、ポータブル電源の処分方法や売却のポイントなどをご紹介しました。
便利なポータブル電源ですが、ここ数年で普及してきたということもあって、まだ自治体でも処分方法が定まっていないことも多いようです。
今後、自治体での回収ルールが改正されることもあるため、定期的にチェックしてみるのもよいでしょう。
また、メーカーによっては自社製品の回収をおこなっていることもあるので、購入の際にそこも踏まえて選ぶのも一つの方法です。
どうしてもポータブル電源の処分が難しい、他にも処分するものがある…という場合は不用品回収業者を検討してみませんか?
ポータブル電源は処分が難しく、ここであげたどの処分方法であっても費用が発生してしまいます。
不用品回収業者も費用はかかりますが、ポータブル電源以外の回収・処分も可能ですので、「まとめて片付けたい」「大量に処分したい」という方にはとてもおすすめです。
当社「出張回収センター」でもポータブル電源の回収をおこなっています。
年中無休、土日祝日も対応しており、見積もり、ご相談については早ければその日のうちに伺うことも可能です。
不用品買取専門の部署もあるなど買取事業にも力を入れている当社だからこそ、お得に利用できるプランもありますのでぜひご相談ください。