亡くなった方の遺品整理といえば、かつては遺族、親族などが行うことが一般的でしたが、今では業者に依頼するというケースも増えてきています。
遺品整理を請け負う業者が多数存在し、遺品整理士という民間の団体が主催・認定する資格もあるようです。
とはいえ、大切な遺品を業者に任せるなんて・・・とためらいがある方もいるのも事実。
遺品整理はやはり自分で行うべきなのでしょうか?
今回は遺品整理について、業者を利用した場合のメリットデメリット、業者選びのポイントなど詳しくご紹介していきたいと思います。
遺品整理に行き詰っていたり、業者に依頼するべきかお悩みの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
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- 【遺品整理の基本】いつから始める?方法や費用は?疑問点を解説します!
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1.遺品整理とは?誰がいつまでにやるべき?
遺品整理とは、故人の遺品を「必要なもの」「必要でないもの」に仕分けて整理し、処分をすることをいいます。
しかし実際に遺品整理をする場合、やることは「遺品の仕分け・処分」だけではありません。
まず、遺品が残された部屋や家の状態の把握から始まり、親族への連絡やスケジュールの調整、相続するものがあれば法的手続きを行い、遺品の仕分けから不要なものの売却・廃棄・・・といったふうに、やらなくてはならないことはとても多いのです。
ざっとあげてみるだけでも、「遺品整理」でやるべきことはこんなにあります。
- 部屋や家の状態の確認
- 賃貸物件の場合、契約の確認
- 水道や電気、ガスの解約
- 遺品の量の把握
- 遺言書やエンディングノートの有無を確認
- 親族への報告や日程の調整
- 相続関係の手続き
- 健康保険証や年金手帳の提出
- デジタル遺品の確認
- 車やバイクがある場合は廃車手続き
- 遺品の仕分け
- 形見分けの発送
- 不要なものの売却や廃棄
- 不動産の売却手続き
- 部屋の掃除 など
また、遺品の量によってもやるべきこと、そして作業量は大きく変わってきます。
家一軒まるまる残っている場合は膨大な量の遺品を仕分けなければならず、そうなると数か月かかるのはザラ、年単位で時間が必要になることさえあります。
それぐらいの手間や時間、労力がかかるうえ、遺品整理は決断の連続です。
貴重品の取り扱いには特に注意が必要になるほか、故人の思い入れのある品を残すか捨てるか選択していかなければなりません。
このように「遺品整理」は精神的にも非常に負担の大きい作業なのです。
いつまでにやればいい?
遺品整理は明確にいつまでにやらなければならないと決まっているわけではありませんが、遺族や親族が集まる機会となる
- 四十九日後
- 諸手続き後
- 葬儀後
- 相続前
といった区切りのいいタイミングで行われることが多いようです。
しかし遺品が置かれている部屋が賃貸だった場合は、そのようなタイミングを待たずにすぐ遺品整理を行い、退去しなければならないケースもあります。
決められた退去日までに遺品整理が完了しないと、追加で家賃や違約金を支払わなければならないなど費用が発生する場合があるため、必ず賃貸借契約書を確認しておきましょう。
そのほかにも遺品の中に相続税がかかるものがあった際は、10ヶ月以内に申告を行わないと加算税がかかる場合もあるので注意が必要です。
上記したように、時間の経過で金銭が発生するものについては特に注意し、なるべく早く手続きや処理を済ませておく必要があるでしょう。
だれがやるべき?
遺品整理は故人の子どもや配偶者など、家族が行うものという認識をお持ちの方は多いかと思います。
しかし法的には「遺品整理は故人の財産を相続する者が行うもの」とされているので、故人の子どもや配偶者であっても
- 相続する意思がない
- 故人に負債があったため、相続放棄した
という場合には、遺品整理の権利がないとされています。
相続する意思がないのに遺品整理をしてしまった場合は相続放棄ができなくなったり、他に相続人がいるにもかかわらず遺品整理をしてしまった場合はトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
業者に依頼してもいいの?
最近では、相続人が遺品整理をすることができず、業者に依頼するケースは多くあります。
二世代三世代での同居が当たり前だった時代と違い、今では多くの家庭がそれぞれの世帯で暮らしています。
祖父母とは離れて暮らしていることも多く、また、共働きの家庭が増えているので、実家に行くためのまとまった時間をつくることも容易ではありません。
例えば飛行機での移動が必要な距離で一人暮らしをしていた親族の家を片付ける場合、その地域のごみ回収のルールや不用品の処分方法もわかりませんし、とりあえず自宅に持ち帰るということもできません。
隣近所の方に相談しながら少しずつ片付けることもできるかもしれませんが、そのために長期間仕事を休むわけにもいかないのが現実です。
また、遺族が高齢で、遺品整理に対応できないので業者に依頼するというケースも多くなっています。
核家族化、高齢化が進む日本では、これから遺品整理に業者を利用する人がますます増えていくことが予想されます。
そのほかにも、社会問題にもなっている孤独死・孤立死という問題もあります。
社会とのかかわりを持たず、身寄りもなく、単身で暮らしている方が、誰にも看取られずに亡くなってしまい、遠くはなれた親類や知人がその住まいの片づけを任される。
あるいは、関係者が見つからず、やむを得ずマンションの管理会社が代行するといったことも増えてきています。
このような場合にも、遺品整理を業者に依頼するケースが多いようです。
2.遺品整理業者がしてくれること・メリットは?
時代の流れと共に生活環境が変化したことで、遺品整理を業者に依頼する、という選択肢を選ぶ人は増えています。
とはいえ実際に遺品整理業者に依頼した場合、どこからどこまで作業をしてくれるのか、利用した場合にはどんなメリットがあるのか?など疑問に思うことも多いですよね。
ここからは遺品整理業者ができることとできないこと、利用するメリットについてお伝えしていきます。
遺品整理業者ができること
業者によってサービスの内容は異なりますが、遺品整理が全くできていない状態から、
- 遺品の仕分け
- 遺品の買取査定
- 不用品の回収
- 遺品搬出後の簡易的な清掃
などを遺族と相談しながら行ってくれるのが遺品整理業者です。
遺品の取り扱いに詳しいスタッフが遺族の希望に寄り添いながら作業を進めてくれるので、
- まずどこから手をつければいいかもわからない
- 遺品を見ているだけで辛いので作業をお任せしたい
- 仕事が忙しく遺品整理する暇がない
といった場合に利用するのがおすすめです。
遺品整理業者によっては、
- 特殊清掃専門業者
- 相続手続きについて相談ができる弁護士
- 遺品の供養を依頼できる寺院
- 空き家対策やリフォームの相談ができる不動産会社
といった外部の専門家と提携し、
- 遺品の供養
- 貴重品の探索
- デジタル遺品の整理
- 生前整理
- ごみ屋敷の片付け
- 特殊清掃
- 空き家の解体
- リフォーム
- ハウスクリーニング
- 不動産の取り扱い
- 廃車手続き
など、遺品整理のほかにもさまざまなサービスを提供しているところもあります。
依頼すれば遺品整理はもちろん、その後、空き家になった家の解体や売却まで、すべてワンストップで行うことができます。
もちろん有料ではありますが、複数の業者に問い合わせをする手間を省くことができるので、忙しい方や、遠方にお住まいの方にとっては非常に便利な手段です。
遺品整理業者にできないこと
遺品の仕分けをし、遺品の供養や処分までをおまかせできる遺品整理業者ですが、中には回収できないものもあります。
遺品整理業者に回収できないものは以下になります。
- 生ごみ
- ペットの排せつ物などの汚物
- 液体
- 肖像権を侵害するもの
- 著作権を侵害するもの
- 盗品のおそれがあるもの
- 生き物
- 医療器具や薬品
- 火薬、爆発物、銃器などの危険物 など
上記のように取り扱い不可とされているものでも、業者によってはオプションで追加料金を払えば受け付けてくれるところや、提携している特殊清掃業者を紹介してもらえることもあります。
回収可能かどうかについては、事前に業者に問い合わせてみることをおすすめします。
遺品整理業者に依頼するメリット
遺品整理業者に依頼するメリットには以下の4つがあります。
- 時間がかからない
- 手間がかからない
- 経済的なメリットも
- 精神的な負担の軽減
それぞれくわしく確認していきます。
①時間がかからない
遺品整理業者に依頼する一番のメリットは、なんといっても時間がかからないことです。
自分たちで遺品整理をした場合、遺品を残しておくか、売るか、捨てるかといった判断だけでも膨大な時間が必要になります。
さらに判断ができたら次は遺品に適した売却先を探したり、捨てるのであればごみの分別や回収日を確認して準備し、回収日当日に捨てに行く時間も必要です。
すべての作業を終えるまでには少なくとも数日、長くて数か月から一年以上かかることもあります。
その点、業者に依頼すれば、遺品整理のプロが遺族に確認をとりつつ、迅速に遺品整理を行ってくれます。
複数のスタッフが分担して作業を担当してくれるので、1日で作業が完了となることも多いです。
退去まで時間がない、遠方に住んでいて作業時間がないという場合には特に業者の利用をおすすめします。
部屋の広さと作業人数、作業時間の目安は以下のようになっています。
依頼の前にはぜひ参考にしてみてください。
間取り | 作業人数 | 作業時間 |
---|---|---|
1K~1LDK | 1〜3名 | 2〜6時間程度 |
2DK~2LDK | 3〜5名 | 3〜7時間程度 |
3DK~3LDK | 4名~ | 5時間〜1日程度 |
4DK~ | 5名〜 | 1日〜 |
②手間がかからない
遺品の量が多ければ多いほど、遺品整理には手間がかかるものです。
売却するのであれば、その品に適した売却先を選んだり、店舗に持ち込む手間もかかりますし、自治体のごみ回収を利用するのであれば粗大ごみ回収の予約や、収集場所に運ぶ手間もかかります。
遺族が高齢の場合は、家具や家電を持ち出すだけで重労働なのに加えて、
- 冷蔵庫やテレビといった粗大ごみで捨てられない家電
- タイヤやピアノなど自治体のごみ回収を利用できないもの
- 家から運び出すのが難しい大型家具の運搬・廃棄
- 物置や庭のブロック、庭石
- 車やバイク
- 神棚や仏壇のように処分前に供養が必要なもの
といったような処分に特別な手段が必要なものがあれば、また別の処分方法を考えなければならないといった手間も生じます。
その点、遺品整理業者であれば家から売却先や回収場所への運搬、処分などわずらわしい作業はすべてお任せできますし、特殊な処理が必要なものもオプションとして処分を依頼できます。
一人で作業しなければならない、人手が足りないという場合にも業者の利用をするのがおすすめです。
③経済的なメリットも
遺品整理業者に依頼すると必ず費用は発生してしまいますが、遺品を置いてある場所が賃貸マンションであったり、依頼主が遠方に住んでいる場合は結果的にかかる費用がお得になることもあります。
遺品を置いてある場所が賃貸マンションの場合、遺品整理が長引いて退去できないと、違約金や翌月分の家賃が発生してしまい、数万円以上の出費が必要になってしまうことも。
また、遠方に住んでいて、仕事を休みつつ何度も遺品整理に通った場合、かかる交通費は馬鹿になりませんし、仕事を休んだぶん収入が減ってしまうという事態に陥ることもあるかもしれません。
業者に依頼すれば、遺品整理を早く終えることができるので、自分でする作業を減らせるうえに無駄な出費をすることが無くなります。
遺品の量を確認し、どれくらいかかりそうか大体の予想をたて、「間に合わない」と判断した時点で業者に依頼するのをおすすめします。
④精神的な負担の軽減
遺品整理を業者に依頼することで、遺族の精神的な負担を減らすことができます。
「遺品整理」をする機会というのはそれほど多くはありません。
たとえ一度経験していたとしても、次に別の遺品整理を行う際には遺品の量も状況も違うので、その都度やることも異なります。
そのように慣れない手続きや片付けを行うのは、非常に精神的な負担がかかる作業です。
大切な人を亡くした辛さを抱えながらの作業になるため、中には遺品を見るだけで辛く、片付けが進まないという方もいらっしゃるでしょう。
そんな時に作業をお任せでき、さらにデジタル遺品整理や相続手続き、空き家対策などについての相談もできる人がいれば心強いですよね。
負担が大きいと判断したのであれば無理せず作業を中断し、業者に依頼をして心を休める時間をつくってみてはいかがでしょうか。
3.遺品整理業者に依頼するデメリットとは?
頼りになる遺品整理業者ですが、もちろんメリットだけでなくデメリットもあります。
利用前にはメリットとデメリットを比較して、利用するかどうかを家族や親族の間で相談して決めることが大切です。
遺品整理業者を利用する際のデメリットは以下の4つです。
- お金がかかる
- 気持ちの整理がつかない
- 見られたくないものが出てくる可能性も
- 悪質な業者によるトラブルに注意
それぞれくわしく確認していきましょう。
①お金がかかる
業者に依頼する場合のもっとも大きなデメリットが、お金がかかることです。
一人暮らしだったとしても、家財道具の全てを処分するとなると想像以上に大量のものを家の中から運び出さなければなりません。
仕分けや形見分けを手伝ってもらった場合の人件費、不用品の処分にかかる費用、さらに清掃も依頼するとなると、まとまった金額が必要になると思っていたほうが良いでしょう。
遺品整理を依頼した際の費用の相場はだいたい以下のようになっています。
間取り | 合計料金(税抜) |
---|---|
1K | 30,000 ~ 90,000円 |
1DK | 60,000 ~ 140,000円 |
1LDK | 90,000 ~ 170,000円 |
2DK | 120,000 ~ 200,000円 |
2LDK | 150,000 ~ 230,000円 |
3DK | 180,000 ~ 260,000円 |
3LDK | 210,000 ~ 290,000円 |
4DK | 240,000 ~ 320,000円 |
4LDK | 270,000円 〜 |
上記の表は目安となるため、サービス内容や物量によって、またオプションの有無によっても費用は変動します。
利用する際は複数の業者から見積もりを取るなど、かかる費用の比較をしておくのがおすすめです。
②気持ちの整理ができない
「遺品整理」はただの荷物の処分ではなく、故人との思い出を振り返り、自分の気持ちを整理する機会でもあります。
そのため、遺品整理業者に依頼するとあっという間に作業が終わってしまい、気持ちの整理がつかないのでは?と心配になる方も中にはいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、遺品の量が多くて難しい、時間がないなどの理由でなかなか時間をかけて遺品整理ができないのも現実です。
もし、遺品整理業者に依頼をしつつ故人を偲びたい、というご希望があるのならば、
- 業者に一部の作業を手伝ってもらう
- ここだけは自分が整理するという場所を決め、それ以外を業者に依頼する
などの方法をとるのがおすすめです。
自分や遺族が納得する形で遺品整理を終えることができるようにしましょう。
③見られたくないものが出てくる可能性も
家の中に他人が入ることに抵抗のある人には、業者に片付けを依頼することは大きなデメリットかもしれません。
また、片づけていく過程で他人に見られたくないものや触られたくないものが出てくる、という可能性も十分あるでしょう。
プロなのですべてお任せしても問題はないのですが、どうしても気になる、という場合は見られたくないものを事前に片付けておくことをおすすめします。
④悪質な業者によるトラブルに注意
遺族に寄り添い、前へ進む手助けをするはずの遺品整理業者ですが、業者の中には残念ながら悪徳業者も存在しており、利用には注意が必要です。
国民生活センターには実際に、遺品整理サービスを依頼した際の契約トラブルについての相談が多く寄せられています。
(参考:国民生活センター|こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル-料金や作業内容に関するトラブルが発生しています-)
トラブルの事例をご紹介します。
費用面でのトラブル
悪徳業者とのトラブルで一番多いのが費用面でのトラブルです。
- 見積もりで提示された金額より高い金額を請求された
- 事前説明に無い追加費用を請求された
- 不当なキャンセル料を請求された
といったふうに、もともと説明を受けていた金額に別の費用が上乗せされ、結果的に高額な費用を支払わなければならなくなってしまった・・・というケースが多いようです。
そのほか、高額なプランを強引に契約させられてしまった、ということもあります。
「いま決めれば安くなる」「早く作業を始めるなら今日中に契約を」
と強い口調で契約を迫られてしまうと、ついついその場で契約してしまいたくなってしまうものですが、その場で決定するとトラブルにつながる可能性が高くなります。
他社の見積もりを比較し、親族間でよく相談・検討したうえで契約を結ぶようにしてください。
作業時のトラブル
費用トラブルの他にも、作業時に遺品を雑に扱われたり、捨てられては困るものまで捨てられてしまう・・・といったようなトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。
そのほか、作業時のトラブルとして報告されているものには以下があります。
- 契約したのに作業してくれない
- 思い出の品まで処分されてしまった
- 頼んでいないものまで捨てられた
- 不用品を不当な金額で買い取られてしまった
- 貴金属などの貴重品を強引に安値で買い取られてしまった
- 貴重品の窃盗被害にあった
- 作業時に家に傷をつけられた
- 回収された不用品が不法投棄された
どのトラブルに巻き込まれても被害は大きいですが、特に回収された不用品が不法投棄された場合は、業者だけでなく依頼主も罪に問われることがあります。
不法投棄されることを知らなかった、という場合でも罰則が科せられてしまうこともあるため、十分に注意しなければなりません。
大切な人を亡くしたあとで上記のようなトラブルに巻き込まれてしまった場合、遺族が受ける精神的なストレスは計り知れません。
余計なストレスを受けてしまわないよう、業者選びは慎重に行う必要があります。
次の章では業者を選ぶ際のポイントを解説しますので、ぜひ一度目を通してみてください。
4.業者選びのポイントは4つ!
悪質業者によるトラブルに巻き込まれることなく遺品整理を終えるには、慎重に業者選びをする必要があります。
ここからは実際に業者を選ぶ際のポイントを4つご紹介します。
- 希望するサービスに対応しているかどうか
- 遺品整理士の資格保有者がいるかどうかをチェック
- 複数の業者から見積もりをとろう
- 口コミやブログ、作業実績を確認しよう
業者を選ぶ前にはぜひ一度目を通してみてくださいね。
①希望するサービスに対応しているかどうか
遺品の供養や貴重品の探索、デジタル遺品の整理やごみ屋敷の片付けなどさまざまなサービスに対応している遺品整理業者ですが、業者によってサービスに対応しているかどうかは異なります。
孤独死の現場などは特殊清掃が必要であったり、デジタル遺品については専門の知識も必要となるため、対応していない業者もあります。
まずどんなサービスが必要かをあらかじめ確認しておき、業者選びを行うことが大切です。
また、遺品整理するお部屋や家が業者の対応エリア外だった、ということもよくあります。
ネットで調べると遺品整理業者がたくさんでてきますが、まずは遺品整理するお部屋や家が業者の対応エリア内かどうかを確かめておく必要があるでしょう。
②遺品整理士の資格保有者がいるかどうかをチェック
業者選びをする際は、一般財団法人 遺品整理士認定協会が認定する「遺品整理士」やそのほか遺品整理に関する資格を持つスタッフがいるかどうかをチェックするのがおすすめです。
遺品整理士は遺品の取り扱いの手順や、遺品整理に必要な法規制はもちろん、マナーや遺族への心配りを学び、試験に合格した者のみ取得できる民間資格です。
一般の不用品回収業者やハウスキーピングのスタッフよりも遺品整理の経験も豊富なので、安心して依頼ができるでしょう。
そのほか、遺品整理に関する資格には以下があります。
資格名 | 内容 |
---|---|
遺品整理アドバイザー | 遺品整理に必要な知識をもち、依頼者に寄り添いアドバイスを行う。 一般社団法人遺品整理士認定協会により認定。 |
遺品査定士 | 遺品の査定と買取に特化した専門家。 一般社団法人遺品整理士認定協会により認定。 |
事件現場特殊清掃士 | 専門の知識と機材を持ち、孤独死や事件事故、自殺等の現場の原状回復を行う。 一般社団法人 事件現場特殊清掃センターが認定。 |
生前整理技能Pro1級 | 依頼者が生前整理や終活を問題なく終えられるために必要な知識をもち、アドバイスを行う。 一般社団法人遺品整理士認定協会により認定。 |
業者選びの際にはかかる費用だけでなく、業者がどのような資格をもっているか、という点にも注目してみるのがポイントです。
③複数の業者から見積もりをとろう
業者選びの際は、複数の業者に見積もりを依頼するのをおすすめします。
遺品整理以外にも遺族にはたくさんやることがあるので、複数の業者に連絡をとる時間がないという方は多いかもしれません。
しかし、複数の業者それぞれの費用を比較することで相場がわかったり、遺品の量に合ったプランを見つけることができるようになります。
結果的に費用が数千円~数万円おさえられることもあるので大切なポイントです。
電話やメールでも見積もりを取ることは可能ですが、作業当日になって遺品の量が聞いていた量と違った、ということで追加費用を請求されてしまうことがあります。
できれば現地まで来てくれ、実際の遺品の量を見て、見積もりをしてくれる業者を選びましょう。
見積書には本来であれば以下のような内容が細かく書かれているはずです。
- 買い取った家財道具等の点数や単価
- 買取によって値引きになった金額や内訳
- 遺品整理の基本料金
- 車両費や作業費
- 人件費
- 作業内容や作業範囲 など
しかし見積書に「作業一式」などざっくりとしか作業内容が書かれていない場合もあります。
その内容のまま契約をしてしまうと、当日の作業内容によっては追加費用が発生する可能性も。
事前に見積書の費用内訳を細かく確認し、追加料金が発生しないか、または追加料金が出る場合の条件などを確認しておき回収当日のトラブルを防止しましょう。
④口コミやブログ、作業実績を確認しよう
口コミサイトを参考にしたり、業者のホームページに載っている作業実績を見てみるのも一つの手です。
口コミサイトは業者が宣伝のために掲載しているところも多いため、複数のサイトを見比べてみるのがおすすめです。
また、最近では遺品整理の様子をYouTubeにあげたり、ブログで回収した不用品の写真をあげる、担当スタッフの顔写真を載せるなど、作業風景や雰囲気をわかりやすくしている業者も増えています。
どういった流れで遺品整理を行うのかというのを知るためにも、まずそういったものを確認してみるのもいいかもしれません。
そのほか、見積もり時のスタッフの対応などを判断材料にするのもいいでしょう。
こちらが疑問に思ったことや見積書の内容を質問したとき、正規の業者であれば面倒くさがらず、丁寧に対応してくれます。
いくら費用が安くても、質問した内容や見積書の詳しい説明をはぐらかしたり、対応が遅い業者は作業のときも同じような対応をしてくる可能性が高いです。
ちょっとでも不審な点があるのであれば、利用は控えておいた方が無難です。
5.費用を安くしたいなら不用品回収業者の利用も◎
ここまで遺品整理業者についてお伝えしてきましたが、中には、
- 費用が高くて依頼するのをためらっている
- やっぱり他人に遺品整理を頼むのに抵抗がある
といった方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときには遺品整理は自分たちで行い、その後不用品回収業者を利用するという方法があります。
不用品回収業者は遺品整理はせずに、不用品の回収・買取だけを行います。
そのため、遺品整理業者を利用するのに比べるとぐんと費用をおさえることが可能です。
費用をおさえつつ、小さな家電や衣類などの不用品はもちろん、大型の家具やリサイクル家電など、運び出しや処分が大変なものの搬出も全ておまかせでき、買取をしてもらえた場合はより費用をおさえることができます。
- 遺品整理は済ませたものの、収集場所までごみを持って行けない
- ごみの収集日を待たずに捨てたい
- 量が多くてリサイクルショップまで持って行けない
といった場合にはとても便利です。
最近では、不用品回収をメインで行いつつも、ゴミ屋敷の片付けや特殊清掃、遺品整理や遺品の供養などさまざまなオプションを選択できる、複合的な業者が増えてきています。
不用品回収だけを利用するつもりだったけれど、
- 思ったより遺品の量が多くて片付かないので、遺品整理もお願いしたい
- 不用品回収してもらうものの中に、供養してもらいたいものがあった
- 片付けに思っていたより時間がかかってしまったので、遺品整理も依頼したい
- ハウスクリーニングが必要な場所がでてきた
というケースにも臨機応変に対応可能です。
不用品回収業者を利用する際にも、どんなオプションが利用できるかはあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
不用品回収業者を利用する際の注意点
不用品回収業者も遺品整理業者と同じく、
- 生ごみやペットの排せつ物などの汚物
- 液体
- 肖像権を侵害するもの
- 著作権を侵害するもの
- 盗品のおそれがあるもの
- 生き物
- 医療器具や薬品
- 火薬、爆発物、銃器などの危険物 など
上記のような品は取り扱いできません。
オプションで追加料金を支払うことで処分が可能な場合がありますので、こちらも併せて事前に問い合わせておくと安心です。
また、不用品回収業者にも悪徳業者が存在しているので注意が必要です。
見分け方はこの記事でご紹介した「4.業者選びのポイントは4つ!」とほぼ同じですが、よりくわしく知りたいという方はこちらの記事をぜひ一度ご確認ください。
6.まとめ
今回のコラムでは、遺品整理を業者に依頼するメリット・デメリット、業者選びのポイントなどについてご紹介しました。
遺品の量やいつまでに遺品整理を終わらせなければいけないかなど、遺族の置かれた状況はさまざまです。
しかしどのような状況であれ、大切な人を亡くしたあとの遺品整理は精神的にも、体力的にも負担が大きい作業となります。
負担が大きいと感じる場合は無理せずに、業者の利用を検討してみましょう。
業者をいざ利用してみようと思っても、費用が高すぎる、どんな業者を選べばいいかわからない、といった点で利用をためらう方は多いです。
費用については
- 複数の業者から見積もりをとる
- できるところまでは自分たちの手で遺品整理を行う
- 遺品整理までできたら、不用品の処分だけ不用品回収業者を利用する
といった方法を試してみると思ったよりも費用がおさえられるかもしれません。
業者選びのポイントも記事の中でくわしくお伝えしていますので、ぜひ業者選びの際は参考にしてみてくださいね。
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