スマホやパソコン、ゲーム機やカメラといった小型家電は、「小型家電リサイクル法」によって回収・リサイクルすることが求められていますが、そもそも「小型家電リサイクル法」について知らない、知ってはいても詳しい捨て方がわからないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、小型家電リサイクル法の詳しい内容や対象品目を解説するとともに、具体的な例として名古屋市における小型家電の処分方法についても詳しくお伝えしていきます。
小型家電の処分にお困りの方や、名古屋市にお住まいの方はぜひ参考にしてみてください!
小型家電リサイクル法とは?
「使用済小型家電電子機器等の再資源化の促進に関する法律」(通称:小型家電リサイクル法)は、小型家電に含まれる鉄、アルミ、銅、貴金属、レアメタルなどの有用な金属をリサイクルするために平成25年4月1日に施行された法律です。
小型家電リサイクル法は、デジタルカメラやゲーム機等の使用済小型電子機器等の再資源化を促進するため、主務大臣による基本方針の策定及び再資源化事業計画の認定、当該認定を受けた再資源化事業計画に従って行う事業についての廃棄物処理業の許可等に関する特例等について定めた法律です。
引用:環境省「環境再生・資源循環」
小型家電リサイクル法によって、これまでは不燃ごみとして捨てられていた小型家電は、自治体や小売店、認定業者などを通して回収され、再資源化が行われるようになりました。
【令和2年度の回収実績】
- 市町村及び認定事業者が回収した小型家電は102,498トン(前年度比4%増)
市町村による回収量が61,646トン(前年度比5%増)
認定事業者による回収量が40,844トン(前年度比2%増) - 認定事業者が引き取った小型家電は101,942トン
うち2,009トンが再使用 - 再資源化された金属の重量は52,222トン(前年度比10%増)
再資源化されたプラスチックの重量は7,529トン(前年度比29%増)
小型家電ひとつひとつに含まれる有用な金属は少量ですが、数が集まれば上記のように非常に大きな資源となります。
回収は消費者の努力義務とされているので小型家電回収を利用しなかったとしても罰せられるわけではありませんが、限りある資源を有効活用し環境に配慮するためにも、小型家電はなるべくリサイクルして処分するのが望ましいといえるでしょう。
リサイクルの対象となる家電製品は?
小型家電リサイクル法の対象となるのは、家電リサイクル法対象の4品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機)を除くほぼすべての家電製品です。
【対象品目の例】
- パソコン・周辺機器(パソコン本体、ディスプレイ、プリンターなど)
- 通信機器(スマートフォン、固定電話機、ファクシミリなど)
- 映像用機器(デジタルカメラ、レコーダーなど)
- ゲーム機
- 電動工具
- 電子楽器
- 電子時計
- 照明器具
- 理容用機器(ドライヤー、ヘアアイロンなど)
- オーディオ機器(ステレオ、スピーカーなど)
- 家電類(炊飯器、掃除機、電動ミシンなど) など
ただし、回収を実施している自治体や家電量販店、認定事業者によっては対象品目や処分方法が異なる場合もあります。その場合は小型家電回収以外の処分方法を利用する必要があるため、注意が必要です。
処分前にはお住まいの自治体の対象品目について確認しておき、確実に処分ができるようにしておきましょう。
名古屋市で小型家電を処分する方法!
ここからは名古屋市の回収対象となっている小型家電の種類や、実際に小型家電を処分する方法について、詳しく解説していきます!
名古屋市で回収対象となっている小型家電
名古屋市で主に回収されている品目は以下の通りです。
- 携帯電話、スマートフォン
- パソコン
- デジタルカメラ、ビデオカメラ
- ゲーム機
- 電話機、ファックス
- 映像用機器(DVD/ブルーレイディスクプレーヤー、ビデオデッキ等)
- 音響機器(デジタルオーディオプレーヤー、ラジオ等)
- 理容用機器(ヘアドライヤー、電気かみそり等)
- ハンディ扇風機(※令和4年4月に追加)
- 電動工具(※令和4年4月に追加)
- これらの付属品(リモコン、アダプター、ケーブル、充電器等)
令和4年4月にハンディ扇風機、電動工具が対象品目に追加されたように、名古屋市の小型家電回収品目は今後も増えていくことが予想されます。
以前まで回収対象品目になっていなかった小型家電が追加されている可能性もありますので、処分時には必ずお手持ちの小型家電の分別区分を調べてから処分を行うようにしましょう。判断に迷う場合は、直接問い合わせて確認しておくと安心です。
回収方法①小型家電回収ボックス
名古屋市では、「縦15cm以下かつ横40cm以下かつ奥行25cm以下」の大きさの小型家電であれば回収ボックスを利用して処分することができます。ボックスは環境事業所やショッピングセンター、ホームセンター、スーパーなどさまざまな場所に設置されているので、回収拠点の詳細を参考にお近くの回収ボックスを探してみてください。
この方法であれば、各施設の営業(開庁)時間内であればいつでも利用でき、無料で小型家電を手放せます。ただし、利用時は以下のような点に注意してください。
- 個人情報が含まれるものは、あらかじめデータの削除が必要
- 一度回収ボックスに入れたものは取り出せない
- 取り外し可能な電池(バッテリー)は取り外してから出す必要がある
- 大きなサイズの小型家電は利用できない
回収方法②宅配便による回収
名古屋市は、認定事業者であるリネットジャパンリサイクル株式会社と提携し、宅配便での小型家電回収を行っています。
【申込の手順】
- 「リネットジャパン」ホームページから申込
- 小型家電をダンボールに入れ、梱包する
- 佐川急便にダンボールを回収してもらう
- メールで処理完了の知らせを受け取る
ダンボールを自分で用意したり梱包したりする手間はかかりますが、この方法であれば家にいながら小型家電を処分できます。ダンボールが用意できなければ、段ボール事前配送サービスを利用することも可能です(有料)。
ただし、小型家電のみを回収してもらう場合は、ひと箱1,600円(税込1,760円)の費用がかかるため注意してください。小型家電の中にパソコンが含まれていれば回収費用は無料になるので、パソコン処分時の利用をおすすめします。
回収方法③家電量販店による回収
小型家電は、家電量販店でも回収してもらえます。
名古屋市のホームページに記載のある家電量販店と、回収方法、費用は以下の通りです。
家電量販店 | 回収方法 | 費用 |
---|---|---|
エディオン | 対面回収 | 無料 一部品目有料 |
ケーズデンキ | 対面回収 | 無料 一部品目有料 |
コジマ | 宅配便(佐川急便)を利用した回収 | 有料 |
ジョーシン | 対面回収 | 無料 一部品目有料 |
ビックカメラ | 宅配便(佐川急便)を利用した回収 | 有料 |
ヤマダ電機 | 対面回収 | 無料 一部品目有料 |
ヨドバシカメラ | 対面回収 宅配便(佐川急便)を利用した回収 | 有料 |
上記の表でも確認できるように、申込方法や料金、回収品目などは店舗によって違いがあります。
利用店舗がそもそも回収に対応していない可能性もありますので、処分前には各ホームページ、お問い合わせにてあらかじめ確認しておくのをおすすめします。
回収方法④環境事業所での回収
令和4年4月より、名古屋市環境事業所では小型家電回収ボックスに入らない大きさの充電式家電の引取を行っています。
- ハンディ掃除機
- ロボット掃除機 など
こちらも回収ボックスと同じく、環境事業所の開庁時間内に持ち込むことができれば小型家電を無料で処分可能です。お手持ちの小型家電が受入可能品目に該当するかわからない場合は、あらかじめ問い合わせて確認しておきましょう。
環境事業所の開庁時間:年末年始を除いた月曜日から金曜日の午前8時から午後4時45分まで
なお、自分で処理施設に小型家電以外のものを搬入する場合の受付時間は、環境事業所の開庁時間とは異なっているため注意が必要です。搬入前には自己搬入のページで受付時間をご確認ください。
小型家電回収を利用できない場合はどうする?
資源の有効活用のためにも小型家電はリサイクルするのが望ましいですが、「小型家電が回収ボックスに入らない」「近くに小型家電回収を実施しているところがない」などさまざまな事情で小型家電回収を利用できない方もいるかもしれません。
その場合は、分別区分に従って不燃ごみ・粗大ごみとして処分することも可能です。
それぞれの方法について確認してみましょう。
不燃ごみ回収
名古屋市での不燃ごみ回収は原則、各戸回収です。
- 出す場所:自宅前か指定回収場所
- 出す日:月1回
- 出す時間:朝8時(中区は7時)まで
- 必ず家庭用不燃ごみ用指定袋に入れてごみに出す
このとき、一度に大量の小型家電をごみに出すと回収してもらえないこともあります。大量に処分するものがある場合は、小分けにして出す、何回かに分けて出すなど計画的にごみ出しをするようにしましょう。
粗大ごみ回収
名古屋市では、30cm角を超える小型家電は粗大ごみとなります。
その場合は、予約と手数料納付券の購入が事前に必要です。
【名古屋市の粗大ごみ回収の手順】
- 電話かインターネットでの受付を利用して予約する
- ごみ手数料を確認する
- 環境事業所やスーパー、コンビニなどでごみ手数料券シールを購入
- ごみ手数料券シールに予約時に聞いた受付番号を記入し、ごみに貼る
- 予約した当日の朝8時までに、指定の収集場所に出す
粗大ごみの手数料は処分するものの大きさや種類によって250円、500円、1,000円、1,500円に分かれています。具体的な品目と手数料については、名古屋市ホームページの「粗大ごみ手数料のめやす」でも確認可能ですが、「記載がない」「金額が合っているかわからない」という場合は、直接問い合わせて確認しておくと安心です。
クリーンセンター(ごみ処理施設)への持ち込み
もし「粗大ごみ回収を待てない」「複数の不用品を一度に処分したい」ということでしたら、ごみ処理施設に自己搬入して処分することも可能です。
【自己搬入の手順】
- 「可燃ごみ」と「不燃・粗大ごみ」に分別する
- ごみの発生する区の環境事業所を確認する
- 搬入するごみを車両に積んだ状態で、環境事業所へ向かう
- 受付を行う
- 案内された処理施設まで自分で運ぶ
不燃ごみ・粗大ごみの搬入先は大江破砕工場(港区) - ごみを積んだまま車ごと計測。その後ごみを降ろして車を計測し、差分でごみの重さを量る
- 10kgまでごとに200円の処理手数料を現金にて支払う
名古屋市では10kgまでごとに200円手数料を支払うことになっているので、処分したいものの重量・点数によっては1点当たりの処分費用を安く済ませることができます。
ただし、搬入には車が必須で、搬入できるのが平日の日中のみという点で、利用できない方も多いかもしれません。
まだ使える小型家電は売却・譲渡して処分しよう
名古屋市は「メルカリ」や「ジモティー」、「おいくら」などの民間事業者と連携して、まだ使用できる小型家電のリユース(再使用)を推進しています。
まだまだ使用できる小型家電であれば、売却・譲渡を検討してみましょう。
リサイクルショップに売却する
国産メーカーや海外人気メーカーの小型家電であれば、リサイクルショップでの高価買取が期待できます。
持込買取が基本ですが、業者によっては宅配買取や出張買取が利用できるので、家にいながら査定を受けることも可能です。利用しやすい方法を選んで査定を受けてみてはいかがでしょうか。
ただし、リサイクルショップでは状態の悪い小型家電は買取してもらえないのはもちろん、古い製品が買取対象外になることも多いため注意が必要です。査定に出す前には、お手持ちの小型家電の製造年数を確認しておきましょう。
- セカンドストリート:家電は10年以内に製造されたものが買取対象
- ハードオフ:基本的に製造後7年以内のものが買取対象(オーディオ製品は年式問わず受付)
- トレジャーファクトリー:製造年数が7年以内
高く買い取ってもらうためのコツ
- 本体や付属品をきれいに掃除してから査定に出す
- 箱や電源コード、取扱説明書など付属品を揃えておく
- より高く売れる時期に買取に出す
小型家電に限らず中古買取では、新しいものや見た目がきれいなものほど高価買取される傾向があります。本体や付属品をメンテナンスし、できるだけきれいな状態で査定を受けるようにしましょう。
また、加湿器や暖房器具、扇風機や除湿器などの季節家電を売却するなら、売却のタイミングも重要です。
- 夏物家電:4月~7月
- 冬物家電:9月~11月
- 生活家電:2~3月(新生活シーズン前)
リサイクルショップの多くは、定期的に買取強化キャンペーンを行っています。 普段よりもお得に不要な家電を処分できるチャンスなので、査定を受ける前にはお店のSNSやホームページを欠かさずチェックしておきましょう。
フリマアプリ・ネットオークションに出品する
製造年数が古くリサイクルショップで買い取ってもらえなかった小型家電でも、フリマアプリやネットオークションでなら売却できる可能性があります。
需要があれば故障したものでもジャンク品として買い取ってもらえるので、どんなものでも捨てる前に一度、出品してみるのをおすすめします。
利用の注意点
- 出品・梱包・発送まで全て自分で行わなければならず手間がかかる
- 売却できた場合は送料と手数料(販売価格の5~10%)が必要
- すぐに売れるとは限らず、急ぎの場合には不向き
フリマアプリ・ネットオークションは出品から発送まですべて自分で行うため、どうしてもほかの方法よりも手間がかかってしまいます。
出品した小型家電の種類や製造年数によっては売れるまで時間がかかることもあるため、急ぎの場合や手間をなるべくかけたくない!ということなら別の方法を検討したほうがいいでしょう。
人に譲る・ジモティーを利用する
不要な小型家電は親族や友人、知人などに譲って使ってもらうという方法もあります。身近で譲る相手が見つからないなら地元の掲示板「ジモティー」を利用して、譲り先を探してみるのもいいでしょう。
- 廃棄や売却時の面倒な手続きが必要ない
- 家まで引取に来てもらえれば梱包や送料も不要
- まだ使える小型家電を有効活用できる
しかし、お譲りできたとしても小型家電に不具合や汚損があったり、欲しいと言われていないのに無理やり押し付けたりすることでトラブルになる可能性もあるので注意してください。
また、ジモティー利用の場合は以下のような注意点もあります。
- 決済方法の選択肢が少ない
- 譲る相手とのやりとりに時間がかかる
- 利用相手とトラブルになる可能性も
手数料をかけずに利用でき便利なジモティーですが、個人間取引の最中にドタキャンや個人情報の悪用などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
「取引相手に不審な点があるなら取引を中断し、カスタマーセンターに問い合わせをしてみる」「住所を教えず、人目のある場所で受け渡しする」などの対策を徹底して、問題なく取引を終えられるようにしておきましょう。
手軽に処分したいなら不用品回収業者がおすすめ
「手間をかけずに小型家電を処分したい」「小型家電以外にも処分したい不用品がたくさんある」そんな場合は不用品回収業者の利用をおすすめします。
- どんな種類・状態の小型家電でも、複数台あったとしてもまとめて処分可能
- 家の中にある不用品をまとめて回収してくれる
- 分別や搬出、積込などはスタッフにおまかせできる
- まだ使える小型家電を買い取ってもらい、費用をお得にできる場合も!
自治体の小型家電回収は回収拠点の営業(開庁)時間内でなければ利用ができない、というデメリットがありましたが、その点、不用品回収業者なら自分の都合のいい日時に回収を依頼できます。
「引っ越しまで時間がないので、2、3日中に来てほしい」「夜しか時間をとれないので夜間作業してほしい」などさまざまな希望に臨機応変に対応してもらえるので、お急ぎの方はぜひ一度相談してみてください。
悪徳業者に注意
便利な不用品回収業者ですが、中には「作業後に高額な追加料金を請求してくる」「回収した不用品を不法投棄する」などの悪質な営業を行う業者も存在しているので注意が必要です。
依頼前には複数の業者から見積もりをとり、以下のような点をチェックしてトラブルを防止しましょう。
- 正式な見積書を書面で出してくれるか
- 人件費、処分費など内訳が細かく書かれているか
- 出された金額が相場より高すぎないか
- 追加料金が発生しないか
見積もりに不明な点がある場合は、そのままにしておかず確認を済ませておくことが大切です。その際に、質問に答えてくれない、返信が遅い、ずっと電話がつながらないなど不審な点があれば要注意。別の業者の利用を検討するのをおすすめします。
▼業者選びについてもっと詳しく知りたい!という方はこちらのコラムもどうぞ▼
まとめ
有用な資源を含んでいる小型家電は、不要になったら「小型家電リサイクル法」に則って適切な処分をすることが求められています。自治体の小型家電回収を利用すれば無料で処分ができるので、まずはお住まいの自治体の回収品目や回収方法を確認しましょう。
記事の中ではまだ使える小型家電売却・譲渡してお得に処分する方法や、不用品回収業者を利用して手軽に小型家電を処分する方法も解説しています。方法それぞれメリットとデメリットがありますので、記事を参考に利用しやすい方法を選んでみてください!
弊社「出張回収センター」でも、小型家電の回収を行っています。
「小型家電が複数あり、処分できない」「家から運び出せない不用品がある」などお困りでしたら、ぜひお気軽にご相談ください!
▼小型家電処分についてはこちらのコラムでも解説しています▼