2022年も折り返しですが、まだまだコロナ禍は先行きの見えない状態が続いていますね。そんな中で、我々の仕事と切っても切り離せない深刻な話題を発見しました。
というもので、関東のとある清掃会社が取った統計によると、コロナ禍前の2020年1~2月ではいわゆる「ごみ屋敷」の清掃依頼はだいたい月に80件ほどだったのが、全国でも感染者が目立ち始めた3月以降の依頼はなんと倍以上の190件にも増えたということです。
巣ごもり傾向で家で過ごす時間も格段に増え、買い物も控えているとつい家から出ずに頼める便利なデリバリーなどに頼りがちです。たしかに容器のごみはけっこうすぐにかさばってきてしまうので、ズボラな人はごみ捨てをサボるとすぐに散らかってしまいそうですね。
ただそうした、元々「ちょっとだらしない人」というのは、自分の部屋を手がつけられないほどの深刻なごみ屋敷にしてしまうことは少ないのです。
では、どのような人がごみ屋敷を生み出してしまうのでしょうか?
コロナ禍ではリモートワークや自宅待機などで人と触れ合う機会も減り、孤独感や無力感を感じることがごみ屋敷の発生にも関わっていそうですね。なので今回は、ごみ屋敷を作り出してしまう人の陥りやすい心理状態について調べてみたいと思います。
ストレス社会と言われる現代では誰しもが陥りやすいものになりますので、自分は大丈夫かなとチェックしていただくとともに、周囲でつらそうな人が思い当たらないかも確認していただき、ごみ屋敷の発生を未然に防ぐ手助けとなれれば幸いです。
ごみ屋敷にしてしまう人の心理状態
家をごみ屋敷にしてしまう人は、次のいくつかの心理が働いている可能性があります。
心理1.孤独感・さみしさをもので埋めている
まず考えられるのは、コロナ禍で人との関わりが減っていることからも増えている傾向だと考えられる、「孤独感」「寂しさ」「不安」という気持ちから部屋をもので埋め尽くしてしまう行動です。
孤独な気持ちが募ると、人は代わりの「物」「行動」でそれを埋めようとします。それ自体は悪いことではないのですが、エスカレートすると物を捨てる、手放して無くなってしまう、ということが耐えられなくなり、どんどん物を溜め込んでしまいます。
元々はすごく社会的な性格だったのに、このコロナ禍で急に在宅勤務となり人と会えなくなったことで別人のように覇気がなくなってしまった人は周りにいないでしょうか。
もしかしたら孤独感から物を溜め込んでしまっているかもしれません。。
心理2.片付けられないことを諦めている、または汚れていることが全く気にならない
掃除という作業が好きな人ならいいかもしれませんが、地道にごみを分別したり、家具を解体したり、それぞれの回収日にまとめて出したり…という小さなフローは苦手な人には苦痛でしょうがない時間になります。
週に一度、身の回りの掃除をするのにも結構な気合がいるのに、それがごみ屋敷という規模になってしまうともはや片付ける気など起こらないですよね。
最初はごみが落ちているのも「気になるな…」「片付けなくちゃな」と思っているのですが、数日するとごみが「ある状態」が当たり前になってしまっているため、危機感が薄れていってしまいます。
そして忙しくて片付ける時間がないから、次の休みにまとめてやろうと思っているから…と、先延ばしにしていた結果ごみ屋敷状態になり手がつけられなくなっていた、という方も少なくないです。
また、そうした「散らかっているのが当たり前になってしまった」心理状態が長く続くと、もはや不衛生な状態が全く気にならなくなってしまうこともあります。
悪臭や虫が発生しているなど、普通では耐えられないような汚部屋の環境でも、当たり前のように暮らしている人ももしかしたら身近にいるのかもしれません。
心理3.物を買うこと、集めることが好き
物が増えていくこと、好きな物に囲まれていること自体に喜びを感じるという方もいます。
買い物癖やコレクション癖がある人に多く、買うこと、集めること自体が楽しみになっているため同じものがいくつもあったり、不用なものを捨てたとしてもどんどん新しくまた買い求めてしまいます。
ショッピング自体は楽しいですが、手に入れたことで満足してしまい、買ったり通販で取り寄せたものの箱や袋を開けすらせずに積み上げている、という状態の方は買い物依存症に陥っている可能性もあります。
買い物して欲しいものが手に入ったときに脳からでたドーパミンという快楽物質と、それが分泌されあたときの感覚が忘れられずに自分ではコントロールできない状態になってしまっています。
ごみ屋敷になっても買い物を続け、破産するまで買い物がやめられないという状態であれば、クレジットカードを止めたり医療の力を借りて、治療することが先決です。
心理4.「もったいない」から捨てられない
戦後、物が無い時代に育った方や、幼少期に貧しい暮らしを強いられていた方などは、「もったいない」「まだ使える」「いつかまた使うかもしれない」という気持ちから、不用なものでも溜め込んでしまったり、いくつもストックを買ってしまうというケースもあるようです。
物を大切にするということ自体はとてもいいことですが、しまいこんだままであったり明らかに故障しているようなものでも捨てる、という判断ができないのは少し困りますね。
しかしこうした方はいま必要なものはどれか、それはどのくらいの数があれば十分かを把握することができれば、あっさりと手放すことができる方も多い傾向にあります。
ものを捨てるのはもったいないことだ、と考えている人は、不要なものを捨てられずゴミ屋敷を作りがちです。
心理5.汚いものに触れられない
お風呂場や排水口の黒カビや、三角コーナーの生ゴミなどは見るのも躊躇してしまいますよね。できれば触りたくないですが、そうした気持ちが強いあまり汚いものに触れず、ごみやホコリなども放置してしまうという人も一定数います。
どんなに嫌でもなんとか掃除すればきれいになるのですが、潔癖症などの精神的な問題を抱えているとそれも難しくなってしまうのです。
潔癖症=汚いものが嫌で、過度に掃除をしてしまうから部屋はきれいなのでは?と思いがちですが、実はいざ汚れてしまうと触れなくなってしまいそのままごみ屋敷にしてしまう方も多いといいます。
関係しているかもしれない心理的な要因
他にも、このような心理的要因が作用している場合や、複合的に要因が絡み合ってごみ屋敷を作り出している可能性もあります。
認知症によって認知能力が低下している
認知症になると部屋が汚れている、ごみを出さなくてはという判断能力が低下してしまい、汚れていると感じなくなってしまいごみ屋敷にしてしまうこともあります。
記憶力も低下していくため、ごみ出しを忘れてしまい放置してしまっている可能性も。
症状の進行によってはごみを財産のように大切なものだと思いこんでいることもあるので、強制的に片付けてしまうと人間関係がこじれてしまう危険性もあります。まずは介護のプロに相談しましょう。
できれば、認知症の方は一人で生活させず、近くで誰かが見守れるようにしたいところです。
過度のストレスにさらされている・過労
家をごみ屋敷にしてしまうのは、何もお年寄りばかりではありません。
心配事や強いストレスがあったり、仕事や毎日の家事に育児、親族の介護などで一日中気を張って忙しくしていると、手が空いたと思ってもとても片付けなどできる状態ではなく、無気力になってしまってどんどん部屋が散らかっていっていってしまうケースもあります。
そのため、認知症を患っているようなお年寄りだけでなく、働き盛りの男女、特にストレスの多いエッセンシャルワーカーと呼ばれる職種の方にもごみ屋敷を作り出してしまう要因は十分にあります。
うつ病が隠れている可能性も
強いストレスにさらされている状態が続くと、心身ともに調子が悪くなりうつ病になってしまうこともあります。生きる気力がわかず、気分が落ち込んでしまい掃除を始め入浴など身の回りのケアができなくなります。
極端に気分が落ち込むと周りに助けを求めることも難しくなってしまいますので、まずは病院で診断を受け、適切なサポートが受けられるようにしましょう。
その他の精神疾患を抱えている場合も
いくつかの精神疾患や発達障害を抱えていると、片付けや掃除ができずごみ屋敷状態になってしまうこともあります。ひとつだけでなく、様々な要因が絡んでいることもありますし、ここからうつ病を発症してしまうケースも少なくありません。
ホーディング
ホーディングとは、他の人から見るとおよそ価値はなさそうなものでも捨てられずどんどん溜め込み、収集し続けてしまう強迫性障害の一種です。
物への執着が強く、明らかなゴミのようなものでもわざわざ溜め込んでしまう事が多く、生活がしにくく成るばかりか火災や害虫の原因にもなりかねませんので、早めの医療介入が望まれます。
買い物依存症
先ほど心理状態の項目で少しお話した「買い物依存症」も、実は精神疾患の一種で治療が必要になります。
「必要なものを購入し、使う」ということが目的ではなく、買い物自体が目的になってしまい、時にはカードの限度枠を超えて買い物をしたり、破産にまで追い込まれてやっと発覚することもあります。
買うこと自体が目的となっているため、購入したものは手つかずでどんどん溜まっていき、いつかは新品のものでごみ屋敷になってしまいます。
セルフネグレクト
近年話題に上がっているのが若年層のセルフネグレクトの増加です。
ネグレクトとは、「無視する」「世話を怠る」という意味で、セルフネグレクトは自分の身の回りのケアを放棄する「自己放任」を意味します。
一人暮らしや高齢者の方で周囲とのコミュニケーションが少なく、孤立した暮らしをしていると周りも気づくのが遅れてしまいますし、セルフネグレクト状態に陥っている人は自分のことに本当に無関心になっているためSOSを求めることもできず、手がつけられないごみ屋敷にしてしまうこともしばしばです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
発達障害による注意欠陥多動性障害(ADHD)が原因で、捨てる物と残す物の判断や優先順位をつけることができなくなってしまい部屋が散らかっているという方もいらっしゃいます。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の方は不注意や多動性、衝動性といった症状があるため、買ったこと自体やどこに置いたかを忘れて何度も同じものを買ってしまったり、ほしい!と思ったものが大きなものでも衝動的に買ってしまい、置き場所に困りどんどん部屋が散らかっていくのです。
人によっては何をどこに置くかに強いこだわりがあることもあり、傍から見ると単に散らかっているように見えても実は計算して置かれている、ということもあるので、第三者が勝手に片付けてしまうとパニックにさせてしまうこともあります。
こうした発達障害は、周囲の支援による暮らしやすい環境づくりが大切なので、まずは医療機関を受信してみることをおすすめします。
家をごみ屋敷にしてしまう人が取る行動とは
家をごみ屋敷にしてしまう人は、一様に共通した行動を取っています。
ひとつひとつは小さな行動かもしれませんが、幼少期からそれが積み重なるとなかなか矯正することは難しく、専門機関でのカウンセリングや認知療法などが必要になることもあります。
1.出したら出しっぱなし
実家も物が多い、散らかっていたという方は親も片付けが苦手な場合が多いようです。
幼少期に「出したらしまう」という習慣が身についていないため放置してしまったり、定位置を決めずあちこちに置くため、見当たらないものを再度購入して物がどんどん増えていってしまいます。
2.衝動的に行動してしまう
大きな買い物や高価な買い物をするときなどは、その場で決めず一度持ち帰り熟考してから決めるのが一般的です。
買っても使い続けないかもしれない…、どこに置こう…、ローンで何回払いにしよう…、似たようなもの持ってなかったけ?など、様々な思案を巡らせるものですが、ごみ屋敷の住人は後先をよく考えずにそのときの感情や衝動に任せて買い物をしてしまうことも多々見受けられます。
届いたときには「なんでこんなもの欲しいと思ったんだっけ?」とすっかり熱が冷めてしまって次から次にまた別のものを購入していると、お金が減っていくばかりか部屋にもどんどん不用なものが溜まっていくでしょう。
3.助けを求めることができない
自分がごみ屋敷に住んでいる、ごみ屋敷にしてしまった、という自覚がある人の中には、「恥ずかしい」という気持ちがあってなかなか周囲に助けを求められない方も多くいらっしゃいます。
人に見せられない、自分で何とかしよう、という気持ちが強く、身近な人の訪問を拒むため周囲から孤立してしまうことも珍しくありません。
ごみ屋敷を放っておくとこんな危険が
本人がこの状態でいい、と思っていたとしても、ごみ屋敷に住み続けることは心理的に様々な悪影響があります。
1.生ごみを放置することで悪臭被害など周囲の住民にも迷惑がかかる
食べ残しのごみを放置すると腐ったりカビが生えて、悪臭が発生します。窓を開けただけでもその臭気は凄まじく、周囲にも悪臭が漂ってしまうので近隣の住民から苦情が来るかもしれません。
また食べ残しの生ごみの汁気や、飲み残しの飲料をこぼして放置していると、床や壁にカビが発生し、家が傷んでしまうことも。
2.害虫・害獣の発生で健康を害する可能性がある
さらに、その食べ残しのごみのニオイに害虫・害獣が寄ってきます。
ゴキブリやハエ、シロアリなどの害虫や、ネズミやハクビシンといった害獣は深刻な伝染病を媒介していることもありますし、アレルギーや喘息などの身体的不調だけでなく、不潔な環境にい続けることは精神的にも気分が滅入ってきてしまいます。
さらに害虫・害獣が大量に発生すると、自宅だけでなく隣近所にも被害が広がり、修繕金を求められたり立ち退きを要求されたりといったご近所トラブルになってしまう危険があります。
3.ホコリや断線によって火事になってしまうおそれも
物にあふれているごみ屋敷では毎日の掃除ができず、ホコリが大量に溜まっているためトラッキング火災なども起こりやすいです。
積み重なった色んなものの中に家電などが潜んでいて、無理に引っ張ってコードが断線したりするとそこから火事が起きたり、物が自分のすぐ近くにあるためタバコの火の不始末などがあっという間に引火するなど、危険と隣り合わせです。
家の外にまで不用品があふれてしまっている家などは、周囲で火事があった際に延焼しやすい上、放火のターゲットにもされやすくより危険が多くなります。
身近な人のごみ屋敷問題はどうやって解決していく?
ごみ屋敷問題には様々な要因が複雑に絡み合っており、これをすればすぐに抜け出せるというものではありません。ただ、時間がかかっても前に進むことで確実に未来は変わってくることでしょう。
まずは住民の話を聞く
まずはごみ屋敷に住んでいる方の話を冷静に聞くことが大切です。いつから、どのようにして部屋が散らかっていったかや、きれいにしてからはどうすれば維持ができそうか、など、直接話ができる場を持てるのが理想です。
ただし、精神的疾患を抱えている方の場合は話し合いを拒否されたり、直接話すことが難しいということもあると思います。そうしたときは、自治体に相談しましょう。
自治体には「ごみ屋敷条例」というものがあり、その条例の制定下におかれた自治体ではごみ屋敷住人の支援やサポートができますし、必要があれば「代執行」といって強制的にごみを撤去することもできるのです。
もしごみ屋敷条例の制定のない自治体でも、市民からの相談があれば立ち会って住民と話すことはできます。
一度片付いた部屋に住んでもらう
もし可能であれば、ごみ屋敷の住人にきれいな部屋で過ごしてもらってほしいです。
ごみのない清潔な暮らしを体感してもらい、その快適さを感じてもらうことで今の自分の状態を客観的に立ち返らせ、「片付けよう」という気力を取り戻してもらうのが目的です。
物の置き場所を決める
部屋が散らかってしまい、部屋の中で目的のものを見つけられず困ってしまうのは、「物に置き場所が決まっていないから」です。
ハサミはここ、洋服はここ、というように、物に適切な”住所”をつけることで、出したら元の場所にしまう習慣が付き、使おうと思ったときもそこを見ればいいので探し回ることもありません。
プロの清掃業者に片付けを依頼する
身近な人がごみ屋敷の住人になってしまった場合、どんなに救ってあげたい!と思っても個人でできることには限りがあります。
そうしたときは、プロの手を借りてしまうのがおすすめです。費用はかかりますが、その分あっという間に片付けてもらえます。
プロに依頼するのがおすすめの理由
プロの清掃業者にごみ屋敷掃除を依頼するのがおすすめなのにはいくつか理由があります。
1.私情を挟まないでいてくれる
ごみ屋敷を身内に見られるのは恥ずかしいという方は多いものです。どう思われるだろうか…と不安で、部屋を見せることや、助けを求めることに抵抗がありなかなか依頼に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。
私達はプロですので、ごみ屋敷を見てもなんとも思いませんし、そこまでに至った経緯を責めることは一切ありませんのでご安心下さい。
2.時間や労力がかからない
何ヶ月、何年とかけて物を溜め込んでいったごみ屋敷は、一般の方では一朝一夕には片付けることは、難しいと言ってよいでしょう。
踏み固められたごみの量は途方もなく、分別して袋に詰める時間も、それを集積所へ運ぶ労力もかなりのものとなります。片付けている途中で気力がなくなり、またごみ屋敷に逆戻り…なんてことも。
プロであれば長年のノウハウから最も効率的に部屋を片付けるプランを立て、ごみ屋敷脱出へと導くことができます。力仕事も毎日のことですのでなんのその。エレベーターなしの物件などでもお任せ下さい。
また、プロだからこそ使える機材や洗剤などがあることもプロの清掃業者に依頼をする大きな強みと言えるでしょう。個人で掃除をするよりも格段にお部屋をきれいに仕上げることができます!
正しく処分してくれるので安心
住んでいる自治体によっては、ごみの分別はかなり厳しいことも。
大きな家具や家電などを処分するときには専用のシールを購入し、決まった日に運び出し…と手間も多く、しかもそれを間違えると回収してもらえないということもありますね。
認知症やうつ病などで判断力が落ちている方に正しい分別・処分方法を実践してもらうのはなかなか難しいことですので、そうしたときにもプロを頼ってもらえればよいかと思います。
その自治体の条例に則り、正しく分別し、リサイクルに回せるものは回すなど適切な処置を致しますので安心です。
まとめ
ごみ屋敷になってしまう人の心理状態をざっと説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ごみ屋敷を作り出してしまうのは決して特別なことではなく、どんな方でも様々な要因で起こりうる、身近な問題であることがわかっていただけたかと思います。
もし身近な人が、そして自分がごみ屋敷の住人になってしまったとき。出張回収センターのことを思い出してくれたら嬉しいです!