昨今では「ごみ屋敷」という言葉が一般的に認知されるようになり、子どもでも知っている言葉となりました。
一時はニュースなどでも多く取り上げられるほど社会問題になりましたね。
「ごみ屋敷」とは、「家中にごみが積まれており、 生活できる空間がほとんどなく、管理されていない状態の住居」です。
テレビなどで報道されているごみ屋敷も物があふれて、ここに人が住めるのだろうか…と思った覚えがあります。
実際には物が多いだけでなく、悪臭や害虫の発生源にもなるそうです。
ごみ屋敷は特殊な人だけが作り出すものと思っている方も多いと思いますが、実は病気が関係しているかもしれないということをご存じでしょうか?
ここで言う病気とは、身体の病気ではなく、精神的な疾患のことを指します。
ごみ屋敷に住んでいる住人に対して「片づけられない人」や「だらしない人」という印象がありますが、実は病気が原因かもしれません。
本記事ではごみ屋敷の原因となりえる病気の種類と対処法を詳しく解説していきます。
もし、自分では部屋を片づけられないという方や、周りに思い当たる方がいらっしゃいましたら是非参考にされてみてください。
ごみ屋敷の原因になる6つの精神疾患とは
精神疾患とは心の病とも言われており、「脳の働きが制限されて日常生活や社会生活が困難になる状態」のことです。
ごみ屋敷となる原因として、さまざまな精神疾患の関わりがあると言われていますが、ここでは主に6つの病気を紹介します。
- ADHD(注意欠如・多動性障害)…不注意が多く物をどこに置いたかわからなくなる
- うつ病…ストレスで何もする気力が起きず、ふさぎこんでしまう
- 認知症…ごみの回収日を覚えられなくなる、散らかっているという意識がない
- 統合失調症…注意力が散漫になり、片付け意欲が低下してしまう
- ホーディング(ホーディング障害・ため込み病)…ごみでなく「宝物」、片付けるという気持ちがない
- セルフネグレクト…自分のケアをする気がなく、SOSも出せなくなってしまう
ADHD(注意欠如・多動性障害)
ADHD(注意欠如・多動性障害)とは「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの症状がみられる発達障害のひとつで、成人の3~4%が持っていると言われています。
子どもに多いイメージですが、大人になっても症状が持続したり、大人になってから気づく人も。
大人になってから気づいた場合、急に発症したということではなく「子どものころから持っていたADHDの特性にそれまで気づかなかっただけ」ということになります。
発症の原因についてはまだ解明されておらず、遺伝的な要因や環境的な要因があるとされていますが、一般的には2歳ごろから少しずつ症状がみられるようになります。
また、ADHDは様々な精神疾患と併存することが多く、大人のADHDのうち8割は別の精神疾患を患っていることがわかっています。
その中でも「うつ病」はADHDの患者の5人に1人が罹っていると言われ、「うつ病だと思っていたら実はADHDだった」ということもあるため、心療内科とともに脳神経外科も受診するなど注意が必要です。
症状は?
主に「多動性・衝動性」による特徴と「不注意」による特徴があります。
「多動性・衝動性」による特徴は、
- 落ち着いてじっと座っていられない
- 感情が不安定になりやすい
- 公共の場でも静かにできない
- 順番が待てない
「不注意」による特徴は
- 忘れ物が多い
- 片づけや整理ができない
- 注意が長続きせず、気が散りやすい
- やりかけのまま、ほったらかしでも平気
なぜ「ごみ屋敷」になるの?
「不注意」の特性を見てもわかるように、片づけをしても集中力が続かなかったり、物を失くしやすいので探す際に部屋を散らかしてしまうことが原因になります。
また、ADHDの方に多いのが、片づけ方法がわからない、ごみ捨てのルールをがわからない、などで結局ごみを捨てることができずに部屋に溜め込んでしまう…という方もいます。
うつ病
うつ病とは簡単に言うと「生きる気力がなくなる病気」です。
誰でもかかる可能性のある身近な病気なため、知名度が高い病気と言えます。
心理的なストレスが続くと落ち込んだり、眠れなかったりして「うつ病かしら…」なんて心配したという方も多いではないでしょうか。
実際に、100人に6人がうつ病を経験している言われており、割合は男性より女性のほうが1.6倍多いとのことです。
発症の原因についてはわかっていないことが多く、まだ十分に解明されていませんが、発症の主な原因は「心理的なストレス」「脳内の変化」「なりやすい体質」があると言われています。
うつ病というと、気分が落ち込みふさぎ込んでしまうイメージがありますが、細かくは心の症状と体の症状があります。
症状がどのように出るかは個人によって違っていたり、自分では気づかないケースも多く、周囲や家族の人が気づいてあげるのが重要です。
症状は?
「心の症状」とは
- 一日中気分が落ち込む
- 物事を決断できない
- 何をしても楽しめない、やる気が出ない
「体の症状」とは?
- 疲れやすい、気力がわかない
- 寝つきが悪い、夜中や朝方に目が覚める
- 体を動かすことがおっくうになる
- 呼吸が苦しくなる、過呼吸
- 手や足が震える
なぜ「ごみ屋敷」になるの?
大きく関係しているのが「やる気が出ない」「動く気力がない」ということです。
何事も無気力にるため、ごみを捨てることもおっくうになり、結果ごみがどんどん溜まってしまうということになります。
また、体の不調による睡眠障害や疲労感、倦怠(けんたい)感、頭痛などにより片づけができない場合もあります。
認知症
認知症とは簡単に言うと「脳がうまく機能しなくなった状態」のことを言います。
高齢者が住むごみ屋敷に多い原因の1つが認知症によるものですが、高齢者だけでなく40代や50代でも発症することがあります。
このように加齢が原因でない認知症は、脳の病気や障害が原因の場合もあります。
また、「加齢によるもの忘れ」と「認知症」は異なります。
例えば、「約束した時間を忘れてしまった」「どこにしまったか忘れた」というのは加齢による物忘れです。
しかし認知症の場合は、「そのこと自体を覚えられない」状態のことを言います。
症状は?
- 物忘れが激しい、新しい記憶が定着しにくい
- 良いこと、悪いことを正しく判断できない
- ルールや決まりを理解できない、覚えられない
- 日付・曜日・時間や周りの人との関係性などがわからなくなる
- 手順通りに物事を進められない
なぜ「ごみ屋敷」になるの?
認知症を発症すると、ごみかそうでないかの判断ができなくなったり、日付や曜日の感覚がなくなり、ごみを捨てる収集日にごみを出せなくなります。
また、買ったことを忘れて同じものばかり買ってしまい、家に異常な量のストックがあるということもあります。
ただでさえ、火災の恐れや衛生面の心配があるごみ屋敷なので、高齢者が発症した場合には早急に対策する必要があります。
また、高齢者は体力的な事情からもごみ屋敷になりやすいため注意が必要です。
統合失調症
統合失調症とは、簡単に言うと「こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気」です。
幻覚や幻聴が起こり、精神や行動が不安定になることで、生活や人間関係に影響が出やすくなります。
あまり身近な病気ではないかもしれませんが、およそ100人に1人がかかると言われ、特に10代後半~30代といった若い世代に発症しやすいという特徴があります。
原因についてはわかっていないことが多く、まだ十分に解明されていませんが、遺伝と環境の両方が関係していて特に遺伝要因の影響が大きいと考えられています。
また、総合失調症の場合はそのまま放置しておくとうつ病を併発しやすくなります。
うつ病を併発してしまうと治療が難しくなるため、総合失調症の疑いがあるときは早めに病院を受診し、治療をすることが大切です。
症状は?
- 実際に起こっていないものを体験する「幻覚、妄想、思考の障害」
誰かに悪口を言われている、や監視されている、といった被害妄想が起こる
考えや行動にまとまりがなくなる - 感情表現が乏しくなったり、意欲が低下したりする
見た目や周りを気にしなくなり、入浴や着替えをしなくなる
友人付き合いをしなくなり、家に引きこもる - 理解、判断などの知的機能が障害される
目の前のことに集中できなくなったり、他人の指示どおりに物事をこなせなくなったりする
計画を立てて行動できなくなる
なぜ「ごみ屋敷」になるの?
統合失調症になると生活に影響があり、通常通り暮らせなくなります。
何に対しても意欲がなくなったり、計画的に行動ができなくなることで、ごみや物を溜め込むということが起きてしまいます。
また、妄想や幻聴によって、周りには理解できない行動を取る方もいます。
誰が見てもごみだと思うようなものが捨てられない、話がかみ合わないということがあれば総合失調症の可能性を考えてみてください。
ホーディング(ホーディング障害・ため込み病)
ホーディングの研究は近年始まったばかりで、知らない人も多いではないでしょうか?
ホーディングとは、「ガラクタの収集癖を持っていて、 自分の家をゴミで埋め尽くしてしまう病気」 のことです。
ごみ屋敷が注目されるにつれ出てきた病気とも言えそうですね。
「ホーディング障害」「ため込み病」とも言われ、ごみ屋敷に直結する精神疾患です。
とにかく自分の持ち物を捨てたり手放したりすることが困難で、生活困難に陥ってしまうほど物を溜め込んでしまいます。
また、ただ物を溜め込んでしまうだけではなく物を捨てられないという特徴もあります。
具体的な例として、新しい掃除機を購入しても古い掃除機が捨てられず、また次に新しいものを購入しても古いものが捨てられない…といったようにどんどん不要な物が溜まってしまいます。
症状は?
- 物を捨てると「物を無駄にしてしまうのではないか」と不安や罪悪感に襲われてしまう
- 実際の価値とは関係なく、物を捨てること、または手放すことが持続的に困難
- 過剰に物を拾ってくる
- 何でも先延ばしにしてしまい、優柔不断で社会との接点も少なくなっている
なぜ「ごみ屋敷」になるの?
症状のところを見れば、ごみ屋敷になってしまうのは容易に考えられます。
テレビなどの報道でごみ屋敷に住んでいる住人が、ごみを片づけようとする行政の職員に対して「これはごみじゃない!」と叫んでいるのを見たことはないでしょうか?
あの住人をホーダーと呼び、ごみを溜め込んだ状態をホーディングと言います。
ほかの精神疾患に比べてやっかいなのが、本人に「ごみ屋敷を片づけてきれいな家に戻したい」という意思が少ないことです。
本人にごみを捨てる意思がないため、問題が長期化する場合もあります。
「ホーディング」についての詳しい記事はこちら
ごみ屋敷の原因のひとつと考えられている「ホーディング」とは何か?
セルフネグレクト
セルフネグレクト(Self Neglect)とは日本語に訳すと「自己放任」となります。
簡単に言うと、「自分を大切にせず、生活や環境を維持する能力や気力を失った状態」のことです。
生活が困難な状態に陥っても、周囲に助けを呼ばないというのも特徴の1つです。
セルフネグレクトになると、生活において大事な「入浴」「トイレ」「食事」「歯磨き」「掃除」などの行為ができなくなってしまい、ごみ屋敷だけでなく孤独死の原因の1つにもなっています。
セルフネグレクトの根本にあるのは「めんどくさい」や「どうでもいい」という感情です。
誰にでもある感情ですが、大切な人や家族の死だったり、自分の病気や仕事を辞めるなど、さまざまなきっかけにより、「めんどくさい」の感情が爆発して無気力になってしまいます。
そのため年齢や性別に関係なく、誰にでもなりえる病気と言えます。
症状は?
- 食事や入浴などの生きていくうえで必要な行為をしない
- 自分や周りの人、環境に関心がない
- サービスの拒否
- 自分の身体が病気になっても病院へ行こうとしない
- 自宅がごみ屋敷になっていても「なんとかしなくては」という意思がない
なぜ「ごみ屋敷」になるの?
上記にも書いた通り、生活に対して何もかもやる気がなくなるため、当然家を片づ付けることは不可能になります。
セルフネグレクトになってしまう人に多いのが、自己肯定感が低いということです。
自己肯定感が低いと自分を大切にしなくなる、無関心になる原因になります。
さらにひどくなると何もかもやる気がなくなり、身の回りのことに関して「どうでもいい」という感情になってしまうのです。
また、セルフネグレクトの原因の1つとして「孤独である」ということが言えますが、家が片づけられなくなっても家族などの身近な人がいないため、誰にも気づかれないということもあります。
必ずしも病気が原因ではない
ごみ屋敷になってしまう、ほとんどの原因は「精神疾患」ですが、病気が原因でないこともあります。
病気が原因でなかった場合「身体的な原因」「時間的な原因」「金銭的な原因」の3つの可能性も考えられます。
身体的な原因 | 高齢者や病気の人に多く、片づけるための体力がないこと |
時間的な原因 | 若い人に多く、お金はあるが激務などにより片づける時間がないこと |
金銭的な原因 | 若い人に多く、時間・お金ともになく、片づけどころではない状態のこと |
高齢者の方は体の衰えから片づけができなくなることが多くなり、ごみ屋敷化しやすいと言われています。
病気のところでも触れたように、高齢者の方の家がごみ屋敷化してしまうと、事故や病気の原因になったり、最悪の場合は孤独死に繋がる可能性もあり深刻な問題になっています。
実は、平成25年の大阪市の調査によると、ごみ屋敷に住む人の年齢の割合は半数以上が60歳代以上の高齢者ということです。
確かに年を取って体が不自由になると、掃除以外にも買い物や入浴など生活に欠かせないことができなくなりますよね。
また、時間的な原因に多いのが「職業柄どうしても時間が取れない」「仕事上、不規則な生活になってしまう」といった場合です。
例えば、当社にごみ屋敷片付けの依頼をされる方に多いのは、教師や看護師など、時間の拘束が長く多忙なお仕事をされている方。
夜勤などがありごみ出しをする時間が合わず、家には寝に帰るだけ…という生活を続けているうちにごみ屋敷になってしまうと言うケースもよくあるのです。
さらに、今は20代~30代の若い人の家のごみ屋敷化も増えているようですが、これは「若年貧困」によって「働いても働いてもお金がない」などの悪環境によって起きているようです。
日本には、仕事によって時間もなければ、金銭的にも余裕のない若い人たちが増え続けていて、深刻な社会問題になっています。
今の若い人は非正規雇用の割合も多く、低賃金で働いている人も少なくありません。
この「貧困」はセルフネグレクトの大きな要因だと言われていて、元々は「片づけたい」と意思があった人でも貧困のために片づけることができずに、そのうちに「どうでもよい」と考えるようになります。
そうしてセルフネグレクトを発症する…という悪循環になります。
買い物依存症からごみ屋敷になってしまうことも
買い物依存症は正式な病気ではなく「必要ではないものを何度も買ってしまう症状」のことで、こちらもごみ屋敷の原因のひとつです。
買い物依存症は20代~30代の女性に多く、名前のとおり買い物をすることに依存し、欲しいものを買うよりも買い物自体が目的で自分がコントロールできなくなる状態のことを言います。
また、買った後は罪悪感にさいなまれ、自己嫌悪に陥るのも特徴です。
買い物依存症の人は管理するのが苦手な人が多く、片づけが出来ないまま買い物を続けるために部屋が物であふれ、気づいたらごみ屋敷になっていた…というケースも多くあります。
多くの原因はストレスだと言われていますが、他の精神疾患とも関係が深く、うつ病や双極性障害、大人の発達障害も同時に罹っていることもあり、その際には買い物依存に対してだけでなく精神疾患に対する治療も必要になってきます。
自分で症状を知るきっかけとして、「買い物をしても気分がスッキリしない」ことが挙げられます。
購入したら気分が良くなるはずなのに、買ったものに興味を示せない、逆に罪悪感が大きいなどの症状が出始めたら買い物依存症を疑ってください。
こちらも精神疾患と同じように、診療内科や精神科などで診断をしてもらい、治療をすることが可能です。
ごみ屋敷の問題を解決するには?
ごみ屋敷の問題を解決するには、どうしたらいいのでしょうか?
もし、これを読んでいる方がごみ屋敷の住人であるなら、もうすでに「なんとかしたい」「ごみ屋敷から脱したい」と思っているかもしれません。
しかし、「家族がごみ屋敷に住んでいる」「近所の家がごみ屋敷化している」という方は、まずはごみ屋敷の住人に片づけることを理解してもらわなければなりません。
それぞれのケースに合わせた対処法を解説していきます。
まずは説得、話し合いをする
ごみ屋敷の問題を解決するうえで1番大変なのが住人への説得で、大抵の場合、住人は物を捨てることを拒否するために、説得にかなり時間がかかる場合もあります。
住人が家族の場合、近隣住人の場合で対処法が違ってくるのでそれぞれ紹介します。
住人が家族の場合
こまめにコミュニケーションを取り、焦らずに説得するようにします。
説得のポイントは
- ごみ屋敷のリスクを説明
- 家族の気持ちを尊重する
- 家の一部分だけ片づけてみる
ということです。
まずは、ごみ屋敷に住むことが危険であるということを理解してもらいます。
「病気・火災・孤独死・ご近所トラブル」などの危険性があり、改善したほうがよいことを伝えます。
話し合いの際は、落ち着いて話をするようにし、頭ごなしに否定するようなことは言わないようにします。
ここで家族の意見を無視してしまうと、話し合いをしてくれなくなったり、片づけも進まずに関係が悪化することもあります。
また、家の一部分だけを片づけてごみや物がない状態を快適だと感じてもらうと、自ら掃除をするきっかけになったりもします。
この時に気を付けるのが、家族の許可なくごみを全て捨ててしまわないことです。
周りにとってはごみだとしても、本人にとっては捨てられたくない物であることが多いからです。
さらにADHDが原因の方の場合は、散らかって見えるようでも本人にとっては決まった場所に物を置いていることもあり、勝手に物を捨てるとかえって混乱させてしまうこともありますので注意が必要です。
一緒に片づけをしたり、あるいは都度本人に相談しながら、住人本人が納得して捨てる、という心の動きに持っていきましょう。
ごみ屋敷の住人が近所の住民の場合
他人であると直接説得するのは難しい場合もありますよね。
また、たとえごみであっても当然ながら勝手に他人のものを片づけることはできません。
間違った対処をするとトラブルにもなりかねないため、慎重に行動したいものです。
穏便に事を進めるポイントは
- ごみ屋敷の住人の家族や親族に交渉を依頼
- 自治体へ連絡する
- 警察に通報する
ということです。
ごみ屋敷の住人の家族や親族に交渉を依頼
直接ごみ屋敷の住人と話し合うことは難しいですが、もしその住人の家族や親族の連絡先がわかれば、相談することも可能になります。
まずは近所の住民が迷惑だと思っている、困っていることを伝えてもらうようにします。
他人の意見は聞かなくても、家族の意見であれば聞き入れてもらえることが多いようです。
さらに、家族や親族からすると同じようにごみ屋敷問題を解決したいと考えてくれることが多いため、積極的に協力してくれたりもします。
自治体へ相談
家族や親族の連絡先がわからない…という場合は、自治体へ相談してみます。
ごみ屋敷に関する法律はまだありませんが、市町村によってはで条例を設けている場合があります。
例えば愛知県名古屋市では、「名古屋市住居の堆積物による不良な状態の解消に関する条例」というものがあります。
条例の対象は以下になっています。
住居(現に居住に使用しているものに限る)やその敷地などに物品等を堆積又は放置することにより、 ・ねずみや害虫、悪臭が発生している ・火災発生のおそれがある ・道路に通行障害が生じている など、周辺の生活環境に著しい支障が生じている状態(不良な状態) |
対象となる住居に対しては、相談・通報があれば行政で対応してくれるということです。
ただし、ごみ屋敷の条例については自治体によってさまざまで、このような条例すらない自治体もあります。
どのように対応してもらえるかに違いはありますが、一度相談してみましょう。
警察に通報
はじめに言っておくと、警察に通報してもすぐに解決とはなりません。
警察は法律違反をしていない場合には動けないからです。
しかし、相談を受け付けてくれたり、ごみ屋敷の住人へ注意喚起をしてもらえることがあり、警察から注意されると「ごみを片づけよう」と考えてもらえることもあります。
ごみ屋敷の原因が病気の可能性があるなら
もし、ごみ屋敷となってしまった家の住人が精神疾患などの病気である可能性があれば、医療機関を受診してみましょう。
医療機関で病気が判明した場合は、必要な治療を受けることができます。
病気であった場合、放っておいてもいいことはありません。
また、どんな病気であっても早めに発見・治療ができれば回復も早く軽症で済む可能性があります。
ほとんどの精神疾患において、まずは「薬物療法」をすることになります。
ほかにも「電気けいれん療法」や「カウンセリング」などがありますが、医師に相談することで安心できる、ということもあります。
まず病院へ行くことで自分の病気と向き合えたり、相談相手ができることは大きなメリットです。
ごみ屋敷を片づけようと思ったら
ごみ屋敷の住人が自分であっても家族であっても、自分たちだけで片づけるのはかなり大変です。
大量のごみ分別や袋詰め作業、さらに大きなものだと粗大ごみの可能性もあり、片づけるのにかなりの日数がかかります。
片づける際には不用品回収業者などに依頼して行うのがおすすめです。
実は不用品回収業者には、ごみ屋敷の片づけを対応した実績の多いところもあり、入るのも躊躇(ちゅうちょ)するような汚い状態でも、経験豊富なスタッフによって対応してもらえるため安心です。
不用品回収業者へ片づけを依頼する場合のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット | デメリット |
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即日対応が可能 | 料金が高くなりがち |
リサイクル家電やパソコンも回収できる | 悪徳な業者もいるため、選ぶときは慎重に選ばないといけない |
買取可能なものは、買い取ってもらえる | |
重いものや大きいものでも引き取ってもらえる |
ごみ屋敷のように、さまざまな種類の物があふれている場合には、すべてまとめて回収してもらえる不用品回収業者が便利です。
「空き家」がごみ屋敷化している場合は補助金が出る可能性あり
もし親族の家などの「空き家」がごみ屋敷化してしまった場合には、その片付けに対して「補助金」が出る自治体もあります。
以下に補助金制度を取り入れている自治体の特徴をまとめました。
- 過疎化が進み、空き家の多い地域の自治体である
- 都心ではない地域の自治体である
- 空き家バンクを運営している自治体である
- 移住者の支援制度を行っている自治体である
補助金の上限は、大体10万円のところが多いようです。
この補助金制度を利用すると、ごみ屋敷の片づけの際の金銭的負担が減りそうですね。
ただし、対象となる建物、条件や費用などは自治体によって異なるので、お住まいの市町村へ確認してください。
まとめ
ごみ屋敷は、現代社会において大きな問題となっています。
今は核家族化が進み、一人暮らしの高齢者や周りに頼る人がいない人が増えているため、ごみ屋敷化に気付いていない、という人も多くいます。
孤立や孤独は精神疾患の原因にもなり、これもまたごみ屋敷の原因になっていて、ごみ屋敷は今後も増える可能性があります。
自分には関係ない、と油断は禁物です。
離れて暮らす家族の家がごみ屋敷になっていた…なんてこともあるかもしれません。
ごみ屋敷の問題を解決するには家族や周りの協力が欠かせないため、日頃からコミュニケーションを取ったり、部屋の様子を確認したりすることも予防に繋がります。
もし、それでも自分や家族の家がごみ屋敷になってしまったら、片づけのプロである不用品回収業者の力を借りるのがおすすめです。
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