料理をする人のほとんどが経験する「油の処分」。
「どうやって処分するのが正解?」「もっと簡単に捨てられないの?」と悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。
なかには誤った知識で捨てている人もいるかもしれませんね。
油の処分は正しいやり方でないとトラブルの原因にもなるため、注意が必要です。
今回は食用油の正しい捨て方について解説していきます。
油の捨て時や、酸化した油を使うリスクについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
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【NG】食用油の間違った捨て方
食用油の正しい捨て方を知る前に、間違った捨て方についても確認しておきましょう。
間違った捨て方は以下のとおりです。
- 排水口に流す
- 温度が高いまま処理をする
- 液状のまま捨てる
排水口に流す
油を排水口へ流すと川や海が汚染されてしまうだけでなく、油は冷えると固まるので排水管を詰まらせる原因となります。
また油が排水溝に詰まってうまく排水されないと、悪臭とともに油混じりの汚水が逆流し溢れてしまう恐れも。
トイレも同様ですから油を排水口へは流さないようにしてください。
最悪の場合は、業者を呼んで高圧洗浄などで処理することとなり大変です。
温度が高いまま処理をする
油の処理は温度が冷めるまで待ってから処理をするのが重要です。
熱いまま油を吸い込ませた紙や布を捨ててしまうと自然発火する恐れがあるほか、火傷の原因にもなるため注意しましょう。
液状のまま捨てる
油をビニール袋に入れて液状のまま捨ててはいけません。
とある自治体では回収したごみに液状の油が入っており、収集車に積み込み後、ごみ袋が破裂して内容物が道路上や通行人へ飛散する事故が発生しています。
食用油が使えるのは2~4回まで
揚げ物など調理方法によっては大量に使用する油ですが、どれくらい使えるのでしょうか。
結論から言うと、油が再利用できる回数は2~4回が目安です。
とは言え、肉や魚などを揚げた場合は、油が汚れやすくなりますので捨て時も早まります。
どうしても何度か使いたいという方は、オイルポットなどを利用するとよいでしょう。
それでもやはり、使ったあとに長期保管したり、保管の状態が悪かったりすると油が酸化してしまいます。
酸化した油は健康に悪影響となるため、なるべく使用を避けてください。
油を捨てる見極めポイントは以下のとおりです。
- 色が濃くなる
- 臭くなる
- 粘りが出てくる
酸化油を使うリスク
油は、一度でも空気に触れたり熱が加わったりすると酸化が進みます。
開封後の油は保管期間が長いほど酸化しますが、早ければ1週間程度で酸化してしまうことも。
揚げ物の回数が少なく期間が空いてしまう場合は、炒め物用の油としてこまめに使うなど、期間をあけずに早めに使い切る工夫をしましょう。
酸化した油を使用すると料理の風味を損ねるのはもちろんですが、胃もたれ・胸焼け・腹痛などを起こすことや、食中毒の原因にもなります。
また、長期的に酸化油を摂り続けると体内に蓄積し、認知症の原因になるともいわれています。
油を保管・再利用する前に油を綺麗にする方法
使用済みの油をオイルストッカーなどに保存する前に油をキレイにしておくとより安心です。
油をキレイにする方法をいくつかご紹介します。
冷やご飯
冷ご飯をなるべく細かくバラバラにして、揚げた直後の高温の油の中に入れます。
箸でご飯粒をくるくる回すと、衣のカスやゴミを吸着して油をキレイにしてくれますよ。
油がキレイになったら、ご飯を取り除いて保管してください。
梅干し
揚げ物をする時に梅干しを2~3個入れて一緒に揚げると、油がキレイになります。
梅干しはアルカリ性なので油の酸化を防いでくれると言われていますが、実は解明はされていないそう。
とは言え、揚げ物の最中に油が黒ずんできたときや、泡が消えにくくなってきたときに梅干を入れるとサラッとした油に保つことができます。
ジャガイモの皮
1~2個分のジャガイモの皮をいれ、5分ほど素揚げすると油が透き通ります。
ジャガイモの皮には食物繊維が多く含まれていることから、食物繊維が古くなった油の酸化物を吸着して油を復活させるというわけです。
油がキレイになったらジャガイモの皮は取り除いて廃棄し、油はオイルポットなどに保管しましょう。
片栗粉
片栗粉で油をキレイにする方法もあります。
手順は以下の通りです。
- 水200ccに大さじ3杯の片栗粉を入れ、固めの水溶き片栗粉を作る
- ボウルの上にキッチンペーパーをかぶせて、古い油をろ過する
- キッチンペーパー側にある油の中に水溶き片栗粉を入れて、5分ほど放置する
- キッチンペーパーと水溶き片栗粉は除いて油を保管する
油と水溶き片栗粉が分離して、油のごみや酸化物質が片栗粉と一緒に沈み、キッチンペーパーだけでろ過した時よりも油が透き通りキレイになります。
食用油の基本の処分方法
まずは、一般的な油の処分方法をご紹介します。
油は適切な処理をした後、自治体での処分が可能です。
ここで紹介した処理をおこない、自治体の指示に従って処分しましょう。
多くの自治体では、「可燃ごみ」で処分できますが、自治体によっては「資源ごみ」で回収します。
可燃ごみで捨てる場合は、処理の後以下の手順で処分します。
- 前述した処理方法を参考に油を処理する
- 燃えるごみの指定袋がある地域は指定袋に入れる
- 指定された時間・場所に出す
ただし、ここで紹介するのは主に料理の際に余った油を処分するのに向いている方法で、大量の油を処分するには向いてない場合もあります。
1.ペーパータオルや新聞紙に吸わせる
揚げ焼きなどに使用した、少量の油を捨てたい場合はペーパータオルや新聞紙などの紙に吸わせると良いでしょう。
必ず、油の熱が冷めてからおこなうことがポイントです。
もし油の熱が高温のまま紙に吸わせてごみ袋に入れてしまうと、ごみ袋が溶けてしまったり、中のごみに引火したりする恐れもあり危険です。
もし高温のまま油を吸わせてしまった場合は、水に浸していったん熱を冷ましてからごみ袋へ入れましょう。
2.牛乳パックを使う
てんぷらや唐揚げといった揚げ油の場合、牛乳パックの中に新聞紙やペーパータオルを詰め込み、そこに冷ました油を流し込んで捨てるのがおすすめです。
このとき、自然発火を防ぐために牛乳パックの中に入れた新聞紙やペーパータオルには少し水も浸み込ませておきます。
水を浸み込ませていない状態で気温の高い夏場などに屋外に置くと、ごみ袋内で発熱し自然発火する恐れもあるため注意しましょう。
最後は口をテープなどで止めておくと、油がこぼれずに捨てられます。
3.ポリ袋を使う
捨てたい油の量が多いけれど、牛乳パックがない場合はポリ袋に入れて捨てる方法もあります。
ポリ袋を2重にして中に新聞紙やペーパータオルなどを敷き詰め、その後冷ました油を流し込みます。
このときも水を一緒に浸み込ませましょう。
最後にポリ袋の口をしっかりと結びます。
4.凝固剤で固める
鍋に半分程度残る油の処理には、市販の凝固剤で固めて処分するのもおすすめです。
使い方は凝固剤によって多少の違いがあるものの、基本は「油が熱いうちに凝固剤を入れて溶かす」ものが多いです。
油が冷めると凝固剤の作用で油が固まります。
また、フィルターのようなものに油を吸わせて使う凝固剤もあります。
この場合、吸わせる凝固剤は油を冷ましてからおこないます。
どちらも固まったらフライ返しなどですくいとり、ポリ袋に入れて捨てましょう。
凝固剤はスーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどで購入できます。
5.身近な材料で固める
凝固剤の代わりに片栗粉・小麦粉・重曹・パン粉でも油を固めることが出来ます。
方法は、油が熱いうちに油と同量程度の片栗粉・小麦粉・重曹・パン粉を混ぜ入れるだけ。
凝固剤のように固形になるのではなく、ドロッとした柔らかめの粘土のような状態になりますので、ポリ袋などに入れて捨てましょう。
ただし処分したい油の量が多い場合は片栗粉・小麦粉・重曹・パン粉も大量に必要となります。
これらを使用する際、賞味期限が切れているものを使うと無駄がないためおすすめです。
資源ごみとして回収される地域もある
自治体によっては、油を「資源ごみ」としてリサイクル回収している場合もあります。
リサイクル回収をすることで、ごみの量を減らし、資源の有効活用に繋がるというメリットがありますので、ぜひ利用しましょう。
ただし多くの場合、植物性の食用油に限られています。
動物性の食用油(ラードやバターなど)やエンジンオイルは、資源ごみとして回収してもらえないためご注意ください。
リサイクルでの回収方法
自治体により収集方法が異なりますが、多くは以下のような回収方法となります。
- ペットボトルなどの蓋が閉まる容器に油を入れる
- ごみステーションなど指定の場所に置かれた回収ボックスに持ち込む
自治体によっては容器に油を入れて出す場合、700ミリリットル以下の容器に入れるなど、一度に出せる量を限定している場合もあります。
各自治体のホームページなどに詳しく掲載されていますので、お住まいの自治体での油の処分方法を確認してみてください。
大量の油の処分は廃油の回収専門業者も視野に入れる
処分したい油が大量であった場合や、お歳暮などでもらったまま賞味期限切れになった未使用の油の場合は、どのように処分するのでしょうか?
実は、未使用の油であっても処分方法は使用済みの油と同じです。
2リットル程度の容器に入っている油であれば、使用済み・未使用問わず自治体の収集する一般ごみとして排出することが出来ます。
しかし、かなり大量の油を処分したい場合は、廃油の回収専門業者に依頼するのも一案です。
「廃油」とは「事業活動によって発生した使用済みの油」のこと。
廃油の回収専門業者とは、使用済み・賞味期限切れの未使用問わず、食用油もエンジンオイルも回収してくれる業者です。
回収した油は、以下のような商品へ再資源化されます。
- 家畜の飼料
- 燃料の原料
- 塗料工場で油性インクの材料
- タイヤを製造する際の添加剤
- 工業用石鹸
- 軽油の代替品
- バイオディーゼル燃料(BDF)
- 焼却施設やセメント工場で使用される燃料
廃油の中でも特に、使用済み食用油である「廃食用油」の需要は年々高まっています。
廃油の回収専門業者に依頼すると1リットル当たり平均30円~95円程度で買い取ってくれる場合も。
エンジンオイルも業者によっては無料で回収してくれます。
ただし一般家庭で利用できるかどうかは業者によって異なるため、まずはメールや電話で問い合わせてみてください。
油以外にも不用品があるなら不用品回収業者に依頼しよう!
油以外にも処分したい不用品がある場合、不用品回収業者へ依頼するという方法もあります。
不用品回収業者は家庭から出た、家具や家電などのさまざまな不用品を回収・処分してもらえる業者のこと。
自宅までスタッフが回収しに来てくれるため、手間がかからないことや、希望する日時に依頼できるなどメリットがたくさんあります。
しかし実は不用品回収業者は、油を含め、生ごみなどの有機系のごみは原則回収してもらえません。
多くの不用品回収業者では断られてしまう、油や生ごみなどの有機系のごみですが、清掃や片付け系の回収依頼だと生ごみなどの有機系のごみはどうしても避けられないもの。
そのため当社「出張回収センター」のように別途費用をいただき、代行で処分を受け付けている不用品回収業者もあります。
油と一緒に不用品を回収したい希望がある場合は、上記のような油の処分ができる不用品回収業者へ依頼しましょう。
油の処分ができる不用品回収業者であれば、使用した後の廃油をフタのできる容器に入れて保管しておき、他に回収して欲しい不用品が出たら一緒に出す、という形で利用することも可能です。
油の量が多いと運ぶのも大変ですから、家の中からの持ち出しまでお願いできるなら嬉しいですよね。
ただし、不用品回収業者は「処分費」のほかに、「運搬費」や「人件費」といった回収費用がかかります。
業者によって料金プランや回収対象が異なりますので、事前に見積もりや問い合わせをして希望に合った業者を選びましょう。
まとめ
今回は食用油の正しい捨て方や分別、油を処分するタイミングなどをご紹介しました。
少しくらいならいいだろう、と流しに捨ててしまうと排水溝の悪臭・つまりの原因になるだけでなく、環境破壊につながってしまうので絶対にやめましょう。
凝固剤の他に、家にあるもので代わりになる材料もありますので試してみてくださいね。
お伝えしたように、当社「出張回収センター」では油の回収もおこなっています。
もちろん油以外の回収・処分も実績が豊富で、お客様に合わせた料金プランをご提案。
油の処分に困っている、自分達では処分しきれないごみに困っている、持ち出せないごみがある、そんな方はぜひご相談ください。